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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科75巻7号

2021年07月発行

文献概要

特集 第74回日本臨床眼科学会講演集[5] 原著

パラコート・ジクワット液剤(プリグロックス® L)による角膜化学外傷の1例

著者: 田村彩1 曽我部由香1 宇野敏彦2 都村豊弘1

所属機関: 1三豊総合病院眼科 2白井病院

ページ範囲:P.913 - P.918

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要約 目的:一般的な角結膜化学腐蝕とは異なる臨床経過をたどったパラコート含有除草剤による化学外傷の1例について報告する。

症例:79歳,女性。除草剤が左眼に入り,充血を主訴に受診した。軽度の点状表層角膜炎を認めるのみであったが,4日後に増悪を訴え再診した。角膜全面の上皮欠損,全周性の強い結膜充血と瞼結膜の偽膜形成を認めたが,疼痛の訴えはほとんどなかった。洗浄や偽膜の除去,抗菌薬の点眼,ステロイドの点眼と内服による治療を行ったが,所見の改善はみられなかった。受傷9日目に除草剤がパラコート含有と判明し,抗酸化作用のあるレバミピド点眼を追加した。数日おきに洗浄と壊死組織の除去を行ったが,上皮欠損は縮小しなかった。受傷20日をすぎてから徐々に上皮化した。経過中,前房内炎症や眼圧上昇はなかった。受傷40日頃に上皮欠損は消失し,角膜の実質混濁や内皮異常,知覚低下を生じることなく治癒した。最終矯正視力は1.2であった。

結論:パラコートによる化学眼外傷では,受傷直後は軽微な所見にもかかわらず,数日後に急速に組織壊死と炎症が増悪する特異的な経過をたどる。報告例は少なく,成書にも記載が乏しいため,化学外傷の初療時には注意が必要である。

参考文献

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3)三原美晴・北川清隆・早坂征次:グルタチオンとアスコルビン酸の投与が有効と思われたパラコート含有除草剤による眼外傷の一例.眼臨医報98:584-585, 2004
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10)Yoon KC, Im SK, Kim JC et al:Prognosis of paraquat-induced ocular surface injury:therapeutic effect of amniotic membrane transplantation. Cornea 28:520-523, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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