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特集 第74回日本臨床眼科学会講演集[5] 原著
MRIにて発見された鉄片異物による遅発性眼内炎の1例
著者: 新田文彦1 國方彦志1 西口康二12 阿部俊明1 中澤徹1
所属機関: 1東北大学大学院医学系研究科神経感覚器病態学講座眼科学分野 2名古屋大学大学院医学系研究科眼科学・感覚器障害制御学教室
ページ範囲:P.947 - P.952
文献購入ページに移動症例:40歳,男性。コンクリートを鏨で叩く作業中に左眼に違和感を自覚した。受傷翌日,近医を受診したが異常は認めなかった。受傷2か月後に左眼の羞明を自覚し,同近医を再診した。左眼の瞳孔散大を認め,近医神経内科へ紹介となった。MRIにて左眼とその周辺の画像が大きく変形したことから金属片の迷入が疑われ,CTにて左眼内に金属片を認めたため当院に紹介となった。
所見:左眼は視力(0.8),前房と水晶体は清明,虹彩は上鼻側が一部萎縮,眼底は軽度硝子体混濁と周辺部を圧迫して観察することで12時方向の鋸状縁付近に金属片を認めた。自覚症状,他覚的所見が乏しいため経過観察としたが,受傷2か月半後に眼内炎を発症したため,硝子体手術と水晶体乳化吸引術(眼内レンズは挿入せず)を施行した。硝子体の培養からは
結論:金属片迷入が否定できない症例へのMRIは慎重に検討し注意すべきであるが,期せずして得られたそのMRI検査では,金属による特徴的な画像を呈することがある。
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