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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科75巻8号

2021年08月発行

文献概要

臨床報告

遺伝子解析を行った結膜寄生の東洋眼虫症の2例

著者: 石部智也1 日野翔太1 岸大地1 横山勝彦1 瀬戸陽子2 飛彈野真也35 小林隆志3 長谷川英男4 久保田敏昭1

所属機関: 1大分大学医学部眼科学講座 2瀬戸病院眼科 3大分大学医学部感染予防学講座 4大分大学医学部医生物学講座 5国立国際医療研究センター研究所免疫制御研究部

ページ範囲:P.1026 - P.1030

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要約 目的:東洋眼虫が結膜囊に寄生した2症例の虫体の遺伝子解析の結果を報告する。

症例:症例1は78歳,男性。眼脂を主訴に受診した。症例2は80歳,男性。寝たきりの状態で入院中に看護師が偶然結膜囊に虫体を発見した。

所見:症例1は両眼の結膜囊に蠕動する虫体が確認され摘出,計6隻摘出した。症例2は両眼に1隻ずつ確認し左眼より1隻を摘出,以後いずれも確認されなくなった。光学顕微鏡で東洋眼虫と同定し,症例1では雄1隻,雌5隻,症例2は雄であった。症例1の雌1隻と症例2の虫体についてmtDNAのcox1遺伝子塩基配列を解析すると既報の東洋眼虫ハプロタイプ10と一致した。

結論:東洋眼虫症は九州に多いとされてきたが,近年は他の地域からの報告も多い。遺伝子解析は起源,感染の拡大経路を調べるうえで重要な所見である。本症例のハプロタイプ10はヒト感染の初の報告である。

参考文献

1)村上智貴・蔭山 誠・古嶋正俊・他:当院で経験した東洋眼虫症の2例.眼科臨床医報95:599-604,2001
2)熊瀬有美・加藤睦子・高畠まゆみ・他:9隻の虫体を片眼に認めた東洋眼虫症の1例.臨眼64:1747-1750,2010
3)宇根宏容・今本量久・白木邦彦・他:右眼異物感による受診で東洋眼虫を認めた1例.眼臨紀6:630-632,2013
4)高橋直巳・立松良之・田坂嘉孝・他:愛媛県南予地方における東洋眼虫症の1例.眼臨紀3:442-445,2010
5)Otranto D, Testinia G, De Luca F et al:Analysis of genetic variability within Thelazia callipaeda(Nematoda:Thelazioidea)from Europe and Asia by sequencing and mutation scanning of the mitochondrial cytochrome c oxidase subunit 1 gene. Mol Cell Probes 19:306-313, 2005
6)Zhang X, Shi YL, Han LL et al:Population structure analysis of the neglected parasite Thelazia callipaeda revealed high genetic diversity in Eastern Asia isolates. PLoS Negl Trop Dis doi:10.1371/journal.pntd.0006165, 2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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