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臨床報告
眼窩内に寄生したマンソン孤虫症の1例
著者: 古江惠理1 上笹貫太郎1 平木翼2 小牧祐雅3 東裕子4 谷本昭英2 井戸章雄3 坂本泰二1
所属機関: 1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科感覚器病学眼科学 2鹿児島大学大学院医歯学総合研究科病理学 3鹿児島大学大学院医歯学総合研究科消化器疾患・生活習慣病学 4鹿児島大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学
ページ範囲:P.1031 - P.1036
文献購入ページに移動症例:33歳,男性。2017年7月に右眼瞼腫脹が出現し,近医で右眼の結膜炎の診断を受けた。点眼加療で改善しなかったため精査目的で2018年10月に鹿児島大学病院眼科を初診した。右上眼瞼に移動性の腫脹を認め,さらに2年後の造影MRIでは右上直筋付近に占拠性病変が出現した。特発性眼窩炎症の疑いでステロイド内服加療を開始したが,その後の皮膚生検の結果からIgG4関連疾患の診断となった。ステロイド内服を継続したが,改善・増悪を繰り返し寛解には至らなかった。2020年6月に右眼結膜に白色病変を認めたため,摘出術を施行した。摘出後,右眼瞼腫脹は改善した。摘出された白色病変は,病理組織学的検査および寄生虫抗体検査でマンソン孤虫症であると考えられた。
結論:眼窩内の寄生虫感染症は稀であり,特発性眼窩炎症やIgG4関連疾患と症状が類似しているため誤診されやすい。ステロイド抵抗性の繰り返す眼瞼腫脹や外眼筋炎の診断には寄生虫感染症も念頭に置くべきである。
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