icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科75巻8号

2021年08月発行

文献概要

臨床ノート

結膜小切開法で結膜下眼窩脂肪脱を治療した4例

著者: 高橋京一1

所属機関: 1たかはし眼科クリニック

ページ範囲:P.1037 - P.1041

文献購入ページに移動
緒言

 結膜下に生じる眼窩脂肪脱は外来診療でときどき遭遇するが,治療を受けずに放置されている症例もある。通常視機能障害を起こすことはないため治療の主な目的は整容である。壮年期以降の男性に好発するために整容目的の手術を患者側が希望しない場合もある。また,脂肪摘出後のヘルニア門閉鎖の際に手術操作が深部に及ぶため,眼球運動障害,眼球陥凹,球後出血などの合併症のリスクを考え,医師側も積極的に手術を勧めない場合も多いと考えられる。

 最終目標を整容と考えれば,開瞼時に正面で脂肪脱がほぼみられなくなればよいと考えられる。もし,患者負担が少なく安全な術式で結膜下の脂肪を摘出できれば,眼科医も積極的にこの疾患の治療を勧めるようになるであろう。今回,結膜下眼窩脂肪脱に対して結膜小切開法で,脱出した脂肪を単純摘出した4例5眼を経験し,安全かつ有効な術式であったために報告する。

参考文献

1)Glover AT, Glove AS Jr:Subconjunctival orbital fat prolapse. Ophthalmic Plast Recontr Surg 3:83-86, 1987
2)Jordan DR:Orbital fat prolapse. Arch Ophthalmol 111:1583, 1993
3)野田実香:結膜下眼窩脂肪脱.臨眼60:1570-1575,2006
4)Sato K:Long-term outcomes of a surgical technique in management of subconjunctival orbital fat prolapse. Cureus 11:e6078, 2019
5)Otaka I, Kyu N:A new surgical technique for the management of orbital fat prolapse. Am J Ophthalmol 131:267-269, 2001
6)Sniegowski MC, Kelmenson A, Gregory DG et al:Small-incision, sutureless repair of subconjunctival fat prolapse. Ophthalmic Plast Reconstr Surg 28:221-223, 2012
7)高比良雅之・小林 顕:眼窩脂肪脱の手術.眼科手術25:527-531,2012
8)柿崎裕彦:眼窩脂肪ヘルニア.柿崎裕彦(編):眼形成外科—虎の巻.80-83,メディカル葵出版,東京,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら