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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科75巻8号

2021年08月発行

文献概要

特集 第74回日本臨床眼科学会講演集[6] 原著

マイラゲル®を用いた強膜内陥術後にマイラゲル®除去が必要となった5例の検討

著者: 二階堂裕士1 和田悦洋1 齋藤雄太1 木崎順一郎1 安達まい1 恩田秀寿1

所属機関: 1昭和大学医学部眼科学講座

ページ範囲:P.1073 - P.1077

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要約 目的:強膜内陥術に用いられたマイラゲル®は術後に変性・膨化することによりさまざまな晩期合併症の原因となることが知られている。当院において過去20年間にマイラゲル®除去を要した5症例について検討した。

対象と方法:マイラゲル®の膨化が原因と思われる合併症に対してバックル除去を施行した5例について,強膜内陥術後の期間,除去手術前の症状,除去手術に伴う合併症,除去手術後の症状改善の有無などについて検討した。

結果:患者の年齢は58〜76歳で,男性3例,女性2例であった。強膜内陥術からバックル除去手術までの期間は20〜36年であった。術前の症状として眼球運動障害(4例),眼圧上昇(2例),眼瞼下垂(1例),眼瞼腫脹(1例),眼瞼腫瘤(1例)(症状の重複あり)がみられた。除去手術に伴う合併症は,術後低眼圧(1例),手術後の上脈絡膜出血(1例)がみられた。バックル除去後に緑内障濾過手術を要した症例では,濾過手術中に上脈絡膜出血を生じるという合併症もあった。除去手術後に症状が改善した症例は3例であったが,症状改善が得られなかった2例はともに眼圧上昇を合併している症例であった。

結論:マイラゲル®による合併症に対しては除去手術を行うことにより症状改善が期待できる。しかしながら,除去手術に伴う合併症の可能性もあり,これを念頭に置いて治療計画を立てることが重要である。

参考文献

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3)平野 彩・石田政弘・竹内 忍・他:バックル除去に至った原因の検討.臨床眼科63:1667-1672,2009
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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