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特集 第74回日本臨床眼科学会講演集[6] 原著
眼窩内異物摘出に際し外眼角切開が有用であった1例
著者: 近藤広宗1 四宮加容1 山中千尋1 香留崇2 三田村佳典1
所属機関: 1徳島大学大学院医歯薬研究部眼科学分野 2はのうら眼科
ページ範囲:P.1087 - P.1091
文献購入ページに移動症例:68歳,男性。ドリルでコンクリートを剝がす作業中に破片が右眼に飛入した。右眼視力低下を主訴に救急外来を受診した。右眼視力は光覚弁。右眼に角膜裂傷,硝子体脱出,外傷性白内障を認め,CTにて右眼窩外方比較的深部で外直筋に接する状態の異物を認めた。受傷当日に角膜縫合,白内障手術,硝子体手術を施行した。術後経過良好であり,患者より異物除去の希望があったため,受傷127日後に眼窩内異物除去を施行した。はじめに外眼角切開を行った。前房穿刺し眼圧を下げたのち,外直筋付着部で結膜を切開し,斜視鈎で外直筋を牽引しながらアプローチした。異物は外直筋付着部から後方18mmの位置にあり,灰色の固い肉芽に包まれていた。異物は磁性体であり,サイズは3.0mm×2.5mm×1.0mmであった。術後は眼球運動障害などの合併症はなく経過している。
考察:眼窩内異物は術中,位置の確認が困難になる場合や骨切り術の併用が必要な場合がある。今回その対策として術中ナビゲーションシステム,骨切り術の準備をしていたが,外眼角切開を加えた結膜切開アプローチで通常よりも深部の外直筋にアプローチでき,異物が明瞭に確認できた。外眼角切開は外直筋近傍の眼窩内異物の摘出に有用であった。
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