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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科75巻8号

2021年08月発行

文献概要

特集 第74回日本臨床眼科学会講演集[6] 原著

眼窩内異物摘出に際し外眼角切開が有用であった1例

著者: 近藤広宗1 四宮加容1 山中千尋1 香留崇2 三田村佳典1

所属機関: 1徳島大学大学院医歯薬研究部眼科学分野 2はのうら眼科

ページ範囲:P.1087 - P.1091

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要約 緒言:眼窩内異物は,摘出するにあたりその深達度によりさまざまなアプローチが考えられる。今回,外眼角切開を加えた結膜切開アプローチにより深部の異物を摘出した1例を経験したので報告する。

症例:68歳,男性。ドリルでコンクリートを剝がす作業中に破片が右眼に飛入した。右眼視力低下を主訴に救急外来を受診した。右眼視力は光覚弁。右眼に角膜裂傷,硝子体脱出,外傷性白内障を認め,CTにて右眼窩外方比較的深部で外直筋に接する状態の異物を認めた。受傷当日に角膜縫合,白内障手術,硝子体手術を施行した。術後経過良好であり,患者より異物除去の希望があったため,受傷127日後に眼窩内異物除去を施行した。はじめに外眼角切開を行った。前房穿刺し眼圧を下げたのち,外直筋付着部で結膜を切開し,斜視鈎で外直筋を牽引しながらアプローチした。異物は外直筋付着部から後方18mmの位置にあり,灰色の固い肉芽に包まれていた。異物は磁性体であり,サイズは3.0mm×2.5mm×1.0mmであった。術後は眼球運動障害などの合併症はなく経過している。

考察:眼窩内異物は術中,位置の確認が困難になる場合や骨切り術の併用が必要な場合がある。今回その対策として術中ナビゲーションシステム,骨切り術の準備をしていたが,外眼角切開を加えた結膜切開アプローチで通常よりも深部の外直筋にアプローチでき,異物が明瞭に確認できた。外眼角切開は外直筋近傍の眼窩内異物の摘出に有用であった。

参考文献

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2)黒田大樹・三川信之・雑賀厚臣・他:草刈り機による眼窩内金属異物刺入の1例.形成外科54:921-925,2011
3)Gerkowicz K, Prost M, Wawrzyniak M:Experimental ocular siderosis after extrabulbar administration of iron. Br J Ophthalmol 69:149-153, 1985
4)荒木美治:眼窩異物摘出術.大鹿哲郎・後藤 浩(編):眼手術学1総論・眼窩.283-288,文光堂,東京,2014
5)笠井健一郎・嘉鳥信忠:眼窩内異物.眼科52:1600-1605,2010
6)Stewart WB, Levin PS, Toth BA:Orbital surgery. The technique of coronal scalp flap approach to the qateral orbitotomy:Arch Ophthalmol 106:1724-1726, 1988
7)Hamed-Azzam S, Verity DH, Rose GE:Lateral canthotomy orbitotomy a rapid approach to the orbit. Eye 32:333-337, 2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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