icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科75巻9号

2021年09月発行

文献概要

臨床報告Selected

小児緑内障に対する線維柱帯切開術時のシュレム管の同定

著者: 湯浅知世12 杉本洋輔3 西村友美4 奥道秀明2 望月英毅5 木内良明2

所属機関: 1JR広島病院眼科 2広島大学大学院医系科学研究科視覚病態学 3吉島すぎもと眼科 4広島市立安佐市民病院眼科 5草津眼科

ページ範囲:P.1148 - P.1153

文献購入ページに移動
要約 目的:小児緑内障では角膜の変形が強く術中にシュレム管の同定が困難な場合があるが,上直筋付着部を指標にすると,同定が容易になったので報告する。

対象と方法:2008年7月〜2013年6月に広島大学病院で初回線維柱帯切開術を施行した小児緑内障を対象とした。手術画像で結膜角膜境界部・上直筋からシュレム管までの距離を計測した。

結果:結膜角膜境界部・上直筋からシュレム管までの距離はそれぞれ2.3±1.1mm,5.0±0.8mmであり,上直筋付着部を基準として計測すると,ばらつきが少なかった(p=0.04)。

結論:小児緑内障による形成異常のためシュレム管の同定が困難な症例に対し,上直筋付着部を基準とすると,シュレム管の位置を予測しやすいと思われた。

参考文献

1)原田陽介・望月英毅・高松倫也・他:発達緑内障における線維柱帯切開術の手術成績.眼科手術23:469-472,2010
2)野崎美穂・木村英也・岡部純子・他:小児緑内障の手術成績.眼科手術15:129-132,2002
3)北口善之・柿崎裕彦:眼窩の基礎医学 解剖学と生理学.形成外科60:5-16,2017
4)重藤真理子:乳幼児の眼球発達.丸尾敏夫(編):眼科診療プラクティス27 小児視力障害の診療.6-12,文光堂,東京,1997
5)岩城正佳・片岡卓也・三宅豪一郎・他:線維柱帯切開術および非穿孔性線維柱帯切除術にみられたシュレム管の位置の個人差について.眼紀55:783-786,2004
6)岩城正佳・三宅豪一郎・片岡卓也・他:Axenfeld-Rieger症候群に対するトラベクロトミー時に発見されたシュレム管の位置異常について.眼紀56:40-44,2005
7)中村 誠・調 廣子・溝上國義・他:早発型発達緑内障の弱視化要因.日眼会誌113:1145-1152,2009
8)岩川佳佑・沖本 聡・木内良明:乳幼児期の小児緑内障眼における角膜形状および眼球形態.臨眼73:101-108,2019
9)久保田敏昭・田原昭彦:早発型発達緑内障の眼圧上昇機序とその対策.あたらしい眼科29:627-630,2012
10)田原昭彦:緑内障と前房隅角.あたらしい眼科27:1067-1076,2010
11)東 範行:眼の発生.大鹿哲郎(編):眼科診療プラクティス 6 眼科臨床に必要な解剖生理.306-313,文光堂,東京,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?