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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科75巻9号

2021年09月発行

文献概要

特集 第74回日本臨床眼科学会講演集[7] 原著

インドにおけるチベット難民コミュニティでの眼科医療支援活動20年

著者: 浅野宏規12 籠谷保明23 岡田明24 柏瀬光寿25 荒木敬士26 池田欣史27 松本英樹28 飽浦淳介29 黒田真一郎210

所属機関: 1土浦協同病院眼科 2アジア眼科医療協力会 3かごたに眼科 4おかだ眼科 5柏瀬眼科 6兵庫医科大学眼科学教室 7松江赤十字病院眼科 8眼科松本クリニック 9串本リハビリテーションセンター眼科 10永田眼科

ページ範囲:P.1184 - P.1189

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要約 目的:インドの医療過疎地におけるチベット難民コミュニティで,日本のNGOが20年間継続した眼科医療支援活動を総括的に報告する。

対象と方法:2000年から毎年末,インド北西部にあるチベット難民が運営する小規模な結核病院において実施したアイキャンプの診療内容を対象とした。20年間の外来・手術患者数および手術患者における各民族の占める割合の経時的変化を後ろ向きに調査した。また,結核病院のチベット人眼科助手および近隣のインド公立基幹病院に勤務するインド人眼科医へ指導し,眼科医療機器を寄贈した効果を検討した。

結果:総計5,741名の外来診察と1,182件の手術(チベット人283件,インド人899件)を実施した。20年間の後半は,外来患者に占める手術患者の割合が多い傾向にあった。手術件数は初回が35件,その後は43〜77件で推移し,このうちチベット人は例年10〜20件前後で推移し,インド人患者の割合が高かった。日本人眼科医による教育により,チベット人眼科助手は眼底所見の経過観察が可能になり,インド人眼科医は教育開始の3〜5年後に自己閉鎖創囊外摘出術を安全に執刀可能なレベルに向上した。

結論:本アイキャンプ活動では,日本人チーム・社会的弱者にあるチベット人病院スタッフ・インド人眼科医の三者が継続して協働し,チベット難民だけでなくインド人にも白内障失明の救済また予防の恩恵があった。また,眼科医療従事者への教育は,当地の眼科医療レベル向上への一助となった。

参考文献

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2)Neena J, Rachel J, Praveen V et al:Rapid assessment of avoidable blindness in India. PLoS One 3:e2867, 2008
3)Thomas R, Paul P, Rao GN et al:Present status of eye care in India. Surv Ophthalmol 50:85-101, 2005
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9)岡田 明・浅野宏規・柏瀬光寿・他:インドのチベット難民に対する眼科医療協力—ダラムサラでの10年の活動報告.IOL & RS 24:647-655,2010
10)浅野宏規・籠谷保明・岡田 明・他:開眼手術を目的としたネパールとインドでの眼科医療活動の比較.臨眼64:441-444,2010
11)岡田 明・浅野宏規・柏瀬光寿・他:眼科医療協力活動の実施地域における患者背景の変化.臨眼65:345-349,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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