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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科75巻9号

2021年09月発行

文献概要

特集 第74回日本臨床眼科学会講演集[7] 原著

うっ血乳頭で発見された上矢状静脈洞部硬膜動静脈瘻の1例

著者: 清水瑞己12 佐々由季生3 髙木宣典1 溝上泰一朗4 皆良田研介5 江内田寛1

所属機関: 1佐賀大学医学部眼科学講座 2浜松医科大学眼科学教室 3佐賀県医療センター好生館眼科 4佐賀県医療センター好生館脳神経外科 5皆良田眼科医院

ページ範囲:P.1199 - P.1205

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要約 目的:うっ血乳頭のみの所見から上矢状静脈洞部硬膜動静脈瘻(SSS dAVF)の早期診断,治療に至った症例の報告。

症例:患者は69歳,男性。右眼一過性霧視で受診し,両眼視神経乳頭腫脹を認めた。頭部MRIおよび脳血管造影を行い,SSS dAVFの診断に至った。脳出血などの頭蓋内病変発症の予防目的に血管内治療が施行された。安全を考慮し複数回に分けて加療され,発症1年後に両眼うっ血乳頭の改善を認めた。

結論:SSS dAVFは8割が脳出血などを発症するといわれるが,うっ血乳頭が早期診断の重要な所見となりうる可能性があるため診断時には注意が必要である。

参考文献

1)桑山直也・久保道也・遠藤俊郎・他:わが国における硬膜動静脈瘻の治療の現状.脳神経外科ジャーナル20:12-19,2011
2)Robert T, Botta D, Blanc R et al:Ocular signs caused by dural arteriovenous fistula without involvement of the cavernous sinus:a case series with review of the literature. AJNR Am J Neuroradiol 37:1870-1875, 2016
3)畑 大・安喰 稔・田代邦雄:頭蓋内圧亢進を呈し,診断にmagnetic resonance venographyが有効であったdural arteriovenous fistulaの1例.神経内科50:290-293,1999
4)黒川 徹・長島 久・福島和広・他:硬膜動静脈瘻による頭蓋内圧亢進から両眼の視神経萎縮をきたした1例.臨眼紀10:731-737,2017
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6)安倍ひろみ・本村由香・木許賢一・他:うっ血乳頭で発見された硬膜動静脈瘻の1例.臨眼61:1455-1459,2007
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8)里見淳一郎・永廣信治:硬膜動静脈瘻の病態把握(判断)と治療(行動).脳神経外科ジャーナル25:42-51,2016
9)中尾雄三:うっ血乳頭の臨床像.神経眼科2:226-232,1985
10)桑山直也・秋岡直樹・柏崎大奈・他:硬膜動静脈瘻治療の最先端.脳神経外科ジャーナル26:125-133,2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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