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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科75巻9号

2021年09月発行

文献概要

特集 第74回日本臨床眼科学会講演集[7] 原著

裂孔原性網膜剝離に対する硝子体白内障同時手術での術後屈折誤差の検討

著者: 佐藤陽彦1 忍田栄紀1 町田繁樹1

所属機関: 1獨協医科大学埼玉医療センター眼科

ページ範囲:P.1253 - P.1258

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要約 目的:白内障単独手術で挿入すべき眼内レンズ(IOL)を硝子体白内障同時手術で挿入すると,予測屈折値と術後屈折値に誤差が生じる可能性がある。そこで,硝子体白内障同時手術において術前予測屈折値と術後屈折値を比較し,その誤差を検討した。

対象と方法:対象は2016年4月〜2020年5月に獨協医科大学埼玉医療センターにて裂孔原性網膜剝離に対し硝子体白内障同時手術を施行した66眼で,黄斑非剝離例(黄斑ON)は40眼,黄斑剝離例(黄斑OFF)は26眼であった。白内障手術のみ施行した50眼を対照群とした。超音波Aモード法(Aモード)または光学式眼軸長測定装置(IOLマスター)にて眼軸を測定し,IOL度数を決定した。術前予測屈折値と術後屈折値の誤差をレトロスペクティブに検討した。

結果:屈折誤差はAモード群では,黄斑ON・黄斑OFF・白内障のすべてで近視化したが,それぞれに有意差を認めなかった。IOLマスター群では,黄斑OFFの屈折誤差が大きく,黄斑ONおよび白内障との有意差を認めた。Aモード群とIOLマスター群の比較では,黄斑ONと白内障ではAモード群のほうがIOLマスター群より近視化し,白内障では有意差を認めた。黄斑OFFではIOLマスター群のほうがAモード群より屈折誤差は大きかった。

結論:硝子体白内障同時手術では,術後の屈折誤差を考慮したIOL度数決定が必要であると考えられ,黄斑剝離がある場合は注意を要するものと思われた。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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