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臨床報告
ヘアアイロンにより生じた角膜熱傷の1例
著者: 武藤哲也1 町田繁樹1
所属機関: 1獨協医科大学埼玉医療センター眼科
ページ範囲:P.101 - P.104
文献購入ページに移動要約 目的:ヘアアイロン使用中に生じた角膜熱傷の1例を経験したので報告する。
症例:20歳,女性。朝の登校前にヘアアイロンを使用し,髪の毛を整えた。直後から右眼の視力低下と眼痛を自覚し,同日近医を受診した。右眼の角膜熱傷と眼周囲の熱傷と診断され,当院の皮膚科と眼科を紹介され,初診した。視力は右(0.1),左(1.0)で,右眼のみ低下していた。右角膜熱傷と診断し,副腎皮質ステロイド薬と1%アトロピン点眼薬を処方した。翌日の再診時に所見は改善し,角膜面積の約20%を占める角膜びらんになっていた。発症から4日後,さらに改善し,角膜びらんは治癒していた。発症から15日後には,右視力(1.2)に改善した。
結論:本症例は,輪部が障害されていなかったので予後良好であった。ヘアアイロン使用による角膜熱傷はきわめて稀であるが,発症することがあるため注意する必要がある。
症例:20歳,女性。朝の登校前にヘアアイロンを使用し,髪の毛を整えた。直後から右眼の視力低下と眼痛を自覚し,同日近医を受診した。右眼の角膜熱傷と眼周囲の熱傷と診断され,当院の皮膚科と眼科を紹介され,初診した。視力は右(0.1),左(1.0)で,右眼のみ低下していた。右角膜熱傷と診断し,副腎皮質ステロイド薬と1%アトロピン点眼薬を処方した。翌日の再診時に所見は改善し,角膜面積の約20%を占める角膜びらんになっていた。発症から4日後,さらに改善し,角膜びらんは治癒していた。発症から15日後には,右視力(1.2)に改善した。
結論:本症例は,輪部が障害されていなかったので予後良好であった。ヘアアイロン使用による角膜熱傷はきわめて稀であるが,発症することがあるため注意する必要がある。
参考文献
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