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臨床報告
レンティス®コンフォートトーリック挿入眼の屈折値の特性と軸ずれ
著者: 高須逸平1 高須貴美1 貝原懸斗1 星原徳子1
所属機関: 1高須眼科
ページ範囲:P.1365 - P.1371
文献購入ページに移動対象と方法:対象は,2020年7月から当院で白内障手術を施行しLCTを挿入した,連続する31名40眼である。全例,屈折異常と白内障以外の眼科疾患はなく,角膜乱視が−1.00D以上の症例を対象とした。術前と術翌日,術1週間後と術1か月後にオートレフ値とトポグラフィを測定し,レンズ交換法に基づく視力検査(遠方5m,中間1m,近方40cm)を施行した。また,術1週後の軸ずれと相関する要因をピアソンの積率相関係数の有意性検定を用いて検討した。
結果:LCT挿入眼は,術翌日から遠方,中間,近方において,視力は裸眼・矯正とも有意に改善した(すべてp<0.001)。術1週間後のオートレフ値はS値−0.73±0.79D,C値−0.70±0.47Dであった。一方で自覚的屈折値はS値−0.21±0.63D,C値−0.22±0.45Dであり,オートレフ値との間にS値−0.52DとC値−0.48Dの有意な乖離を認めた(それぞれp<0.01,p<0.001)。術1週間後の軸ずれは8.0±10.8°であった。術1週間後において,軸ずれは術後残余乱視(r=−0.698,p<0.001)や裸眼の術後40cm logMAR視力(r=−0.493,p=0.001)と相関し,近視想定を除外した30眼の裸眼の術後5m logMAR視力(r=−0.530,p=0.003)とも相関していた。
結論:LCT挿入眼は,オートレフ値が自覚的屈折値に比して近視,乱視表示される。また,軸ずれが少ないほど裸眼視力は良い。
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