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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科76巻10号

2022年10月発行

文献概要

特集 第75回日本臨床眼科学会講演集[8] 原著

アートメイクにより角結膜障害を生じた1症例

著者: 戎谷さくら1 松澤亜紀子1 林泰博1 吉村雅弘1 工藤昌之2 高木均3

所属機関: 1川崎市立多摩病院眼科 2工藤眼科クリニック 3聖マリアンナ医科大学病院

ページ範囲:P.1434 - P.1439

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要約 目的:アートメイクは,皮膚に色素を注入することで眉やアイラインなどを整えられるため,美容目的での施術が普及している。施術には医師免許が必要だが,無資格者が行っている施設が多く,不適切な施術による皮膚障害や眼障害の報告も多い。筆者が経験した,アイラインのアートメイク施術後に両眼の角結膜びらんを生じた症例を報告する。

症例:40歳,女性。アートメイク施術直後の両眼痛と流涙を主訴に来院した。矯正視力は右0.5p,左0.5であった。前眼部所見では両眼に角膜びらんを認めた。中間透光体および後眼部に異常はなかった。皮膚に使用した外用局所麻酔薬による薬剤性角結膜障害と診断し,0.3%トスフロキサシントシル酸塩点眼および0.1%ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム点眼各4回/日にて加療を開始し,1週間で後遺症なく改善した。

結論:近年アートメイクの需要は増加しているため,今後合併症が増えることが予想される。眼科医として,アートメイクによる眼障害に遭遇する可能性があることを念頭に置く必要がある。

参考文献

1)独立行政法人国民生活センター:アートメイクの危害(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000223vo-att/2r9852000002242i.pdf)(閲覧日:2022年8月10日)
2)神野直子・竹中祐子・石黒直子・他:アートメイク部に肉芽腫を生じたサルコイドーシスの1例.臨床皮膚科68:229-233,2014
3)Vagefi MR, Dragan L, Hughes SM et al:Adverse reactions to permanent eyeliner tattoo. Ophthalmic Plast Reconstr Surg 22:48-51, 2006
4)奈古利恵・船坂陽子・神崎亜希子・他:アートメイクにより皮膚サルコイド反応が多発してみられ肺門リンパ節が腫脹した1例.臨床皮膚科71:307-312,2017
5)椎名雄樹・宮野恭平・中村晃一郎・他:アートメイク施術部に瘢痕浸潤を生じたサルコイドーシス.皮膚病診療41:1061-1064,2019
6)Lu CW, Liu XF, Zhou DD et al:Bilateral diffuse lamellar keratitis triggered by permanent eyeliner tattoo treatment:a case report. Exp Ther Med 14:283-285, 2017
クリーム添付文書(https://www.medinfo-sato.com/products/emla_cream/document/emla_cream.pdf)(閲覧日:2022年8月10日)
8)真野 裕・長井紀章・辰巳賀陽子・他:表面麻酔薬オキシブプロカイン塩酸塩点眼液の角膜傷害性評価.あたらしい眼科33:863-866,2016
9)大原国俊・大久保彰・佐々木洋:表面点眼麻酔薬(塩酸オキシブプロカイン)による重篤な角膜上皮欠損の1例.あたらしい眼科5:1185-1188,1988
10)Lee YB, Kim JJ, Hyon JY et al:Eyelid tattooing induces meibomian gland loss and tear film instability. Cornea 34:750-755, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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