増刊号 最新臨床研究から探る眼科臨床のギモンQ&A
序文
著者:
鈴木康之
ページ範囲:P.5 - P.5
現在,世界中で非常に多くの眼科臨床研究が行われており,それらを全分野についてフォローしていくことは容易なことではありません.しかしながら,エビデンスに基づいた診療を行うためには,しっかりとしたプロトコールに基づいて行われた臨床研究を参考にしながら診療を行うことが求められていますし,実際にそれに答えるように現在ではさまざまな情報やツールが利用できるようになっています.日本眼科学会,American Academy of Ophthalmology,Europe Society of Ophthalmologyなどは多くの教育ページを提供していますし,ガイドラインやPreferred Practice Patternを定期的に更新してくれています.加えてThe Cochrane Libraryもありますし,雑誌についても以前からあるSurvey of Ophthalmologyや各雑誌のreview articleに加え,Progress in Retinal and Eye ResearchやAnnual Review of Vision Science,Current Opinion in Ophthalmologyなどの多くのreview雑誌において各分野における最新の研究成果がまとめられています.さらに近年,医療関係者や学生の間でよく使われるようになってきているUpToDateなどのオンラインツールを使えば,よりストレートに最新の臨床研究の成果を知ることもできます.
とはいえ正直なところ,日本眼科学会のホームページに掲載されているわが国のガイドラインにキャッチアップするだけでも困難を感じていらっしゃる先生も少なくないと思われます.さらに多くのガイドラインがありながらも,それでもそれぞれのガイドラインがカバーする領域はかなり広く,それらの内容の元となった研究や論文の詳細を知ることはガイドラインを読んだだけではできません.そうはいっても1つひとつ引用されている原著論文にまで当たるのはさらに大変です.