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あとがき
著者: 坂本泰二
所属機関:
ページ範囲:P.258 - P.258
文献購入ページに移動 本稿を執筆している現在は2022年1月です。昨年暮れ,本誌の発展に長年貢献された清水弘一先生のご逝去の報に接しました。清水先生は,蛍光眼底造影法の有用性を世界に先駆けて明らかにして,多くの眼科疾患の病態を解明されました。それだけではなく多くの活動を通じて日本の眼科の力を世界中に示され,「世界の清水」と称賛されたことは,我々の誇りとするところです。ご退官の後も,学会報告や本誌の論文について細やかなご指導をいただきました。清水先生のご功績は後程本誌で述べさせていただきますが,大変残念なことです。ご冥福をお祈り申し上げます。
さて,今回の特集は『眼瞼疾患の「切らない」治療 vs 「切る」治療』です。歴史を振り返ると,眼科学は外科学の一分野として発展してきたので,「切る」治療は当然のことと考えられてきました。ただし,「切る」治療への患者側の心理的抵抗感や恐怖は無視できないものであり,「切らない」治療の必要性は年々増大してきました。これは他の外科領域でも同様で,消化器外科では開腹手術の割合が減少し,腹腔鏡手術の割合が増加していることはご承知のことだと思います。つまり,社会全体ができるだけ「切らない」治療を求めているのです。とは申すものの,日常眼科診療ではかつては「切る」治療であったものが,現在は「切らない」治療になったことの具体的例を思い浮かべることは簡単ではないでしょう。そこで,今回はその特集を組みました。「切らない」治療に越したことはありません。しかし,その限界や問題点も少なくはありません。今回の特集で,その点を理解されて,明日の診療につなげていただければと思います。
さて,今回の特集は『眼瞼疾患の「切らない」治療 vs 「切る」治療』です。歴史を振り返ると,眼科学は外科学の一分野として発展してきたので,「切る」治療は当然のことと考えられてきました。ただし,「切る」治療への患者側の心理的抵抗感や恐怖は無視できないものであり,「切らない」治療の必要性は年々増大してきました。これは他の外科領域でも同様で,消化器外科では開腹手術の割合が減少し,腹腔鏡手術の割合が増加していることはご承知のことだと思います。つまり,社会全体ができるだけ「切らない」治療を求めているのです。とは申すものの,日常眼科診療ではかつては「切る」治療であったものが,現在は「切らない」治療になったことの具体的例を思い浮かべることは簡単ではないでしょう。そこで,今回はその特集を組みました。「切らない」治療に越したことはありません。しかし,その限界や問題点も少なくはありません。今回の特集で,その点を理解されて,明日の診療につなげていただければと思います。
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