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臨床報告
慢性期Stevens-Johnson症候群における角膜上皮障害による視力低下およびドライアイに対してスクレラルレンズ装用が有用であった1例
著者: 松岡麗12 岡島行伸2 糸川貴之2 柿栖康二2 鈴木崇2 堀裕一2
所属機関: 1済生会横浜市東部病院眼科 2東邦大学医療センター大森病院眼科
ページ範囲:P.292 - P.298
文献購入ページに移動症例:30歳台,女性。幼少時にSJSの既往があり,ドライアイで近医にて加療されていたが,右眼の眼痛および視力低下を認めたため,当院へ紹介となった。初診時視力は右0.08(0.3×−3.00D()cyl−4.50D 180°),左0.08p(1.2×−5.00D()cyl−0.50D 180°)であった。両眼の結膜充血,右眼に角膜染色スコアA3D3の点状表層角膜症(SPK)を認めた。角膜への血管および結膜の侵入や瞼球癒着は認めず,SJSにおけるSotozonoらの分類による眼障害のスコアは右9/39点,左6/39点と比較的軽度であった。視力改善およびドライアイ症状の軽減のために,右眼に対してScCL(timeXL)を処方したところ,角膜上皮障害が改善し,レンズ上での右眼視力が(1.2)と向上した。またレンズ装用前後での角膜高次収差は,垂直コマ収差が0.10μmから0μm,水平コマ収差が−0.10μmから−0.10μm,球面様収差が0.20μmから0μm,全高次収差が0.47μmから0.10μmへと改善を認めた。
結論:眼所見が比較的軽度である慢性期のSJSに対してScCLを処方したところ,自覚症状および他覚的所見の改善がみられた。
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