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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科76巻3号

2022年03月発行

文献概要

連載 眼科図譜

無症候性前頭洞炎から上眼瞼にPott's puffy tumorを形成した1例

著者: 高橋京一1

所属機関: 1たかはし眼科クリニック

ページ範囲:P.307 - P.310

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緒言

 上眼瞼に腫脹,腫瘤をきたす疾患は多岐にわたる。代表的疾患は霰粒腫や麦粒腫であるが,その他にも涙腺炎,粉瘤,石灰化上皮腫,血管性浮腫,IgG4関連疾患,膠原病,外傷,耳鼻咽喉科疾患,悪性腫瘍などを鑑別していく必要がある。

 なかでも,副鼻腔炎が原発で顔面に腫脹,腫瘤をきたす病態をPott's puffy tumor(PPT)と呼ぶ。Percival Pottが1768年に外傷に起因した前額部骨膜下膿瘍として初めて報告し,その後は主に前頭洞炎に起因した前額部腫瘤の症例が報告されている。現在では前頭洞炎が原因で前頭洞前壁の骨に炎症が波及し前頭洞骨髄炎が生じ,それに伴い前額部骨膜下に膿瘍が形成され,前額部に腫瘍状の突出をきたす病態がPPTと考えられている1)

参考文献

1)Pender ES:Pott's puffy tumor:a complication of frontal sinusitis. Pediatr Emerg Care 6:280-284, 1990
2)Yamamoto M, Wakayama N, Hamajima Y et al:A rare case of palpebral cellulitis, a variation of Pott's puffy tumor. Case Rep Ophthalmol 11:106-111, 2020
3)Lamoreau KP, Fanciullo LM:Pott's puffy tumour mimicking preseptal cellulitis. Clin Exp Optom 91:400-402, 2008
4)秋山貢佐・唐木将行・武田純治・他:Pott's puffy tumor症例およびPott's puffy tumor様腫脹を呈した前頭骨再建後症例.日本鼻科学会会誌50:143-150,2011
5)Singh B, Van Dallen J, Ramjettan S et al:Sinogenic intracranial complications. J Laryngol Otol 109:945-950, 1995

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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