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特集 第75回日本臨床眼科学会講演集[1] 原著
ステロイド局所投与によって軽快した樹氷状血管炎の1例
著者: 中井美穂1 盛秀嗣1 山田晴彦1 藤原亮1 髙橋寛二1
所属機関: 1関西医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.348 - P.353
文献購入ページに移動症例:19歳,女性。高熱,頭痛,眩暈,嘔気を認め,他病院でウイルス感染症と診断され入院加療中であった。抗菌薬および抗ウイルス薬の投与開始後に両眼の視力低下を自覚し,関西医科大学附属病院を紹介され受診となった。矯正視力は右0.01,左0.02であった。両眼とも広範囲に網膜静脈の白鞘化を,また黄斑部に浮腫と漿液性網膜剝離を認めた。フルオレセイン蛍光造影眼底検査では,樹氷状血管炎に特徴的な網膜静脈からの蛍光漏出を認めた。血液検査を含む全身検査では有意な所見はなく,前房水PCRでヘルペスウイルス属は検出されなかった。以上の所見から,樹氷状血管炎と確定診断した。両眼に前述のステロイド薬のテノン囊下注射と点眼治療を行い,治療後3か月時点で両眼ともに網膜静脈の白鞘化の色調ならびに黄斑部の異常所見は消失した。治療数か月後に矯正視力は両眼とも1.0に改善した。
結論:樹氷状血管炎にはステロイド薬の全身投与が著効するが,局所投与であっても治療効果が良好な症例がある。
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