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特集 第75回日本臨床眼科学会講演集[1] 原著
夜盲症状を有する若年症例に対する暗所視支援眼鏡を用いた歩行調査
著者: 井上賢治1 鶴岡三惠子1 石井祐子1 石原純子1
所属機関: 1井上眼科病院
ページ範囲:P.355 - P.360
文献購入ページに移動対象と方法:夜盲症状を有する若年社会人5例(男性2例:女性3例,年齢38.0±7.0歳)を対象とした。MW10非装用時と装用時で,暗所(1〜2ルクス程度)の室内を決められたルートに従って歩行する調査を行い,遂行の可否と所要時間を検討した。対照として健常人5例(男性1例:女性4例,年齢37.8±10.4歳)に同様の調査を行い,比較した。夜盲症例にはMW10の見え方や装用感のアンケート調査を実施した。
結果:夜盲症例はMW10非装用では1例のみが,装用では5例全員が歩行調査を遂行できた。健常人は5例全員が非装用時,装用時ともに歩行調査を遂行できた。所要時間に関しては,夜盲症例では非装用時に遂行できた1例は,装用時(39秒)は非装用時(105秒)に比べ大幅に短縮した。装用時の所要時間は夜盲症例104±78秒で,健常人24±5秒に比べて有意に長かった(p<0.01)。アンケートでは,全員からMW10は見え方の補助になると思うが,装用感として重い,大きいなどの感想が挙がった。
結論:MW10は夜盲症状を有する若年症例に対して暗所での見え方や歩行に役立つ可能性があるが,携帯性やデザイン性の改善が求められる。
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