icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科76巻3号

2022年03月発行

文献概要

特集 第75回日本臨床眼科学会講演集[1] 原著

夜盲症状を有する若年症例に対する暗所視支援眼鏡を用いた歩行調査

著者: 井上賢治1 鶴岡三惠子1 石井祐子1 石原純子1

所属機関: 1井上眼科病院

ページ範囲:P.355 - P.360

文献購入ページに移動
要約 目的:暗所視支援眼鏡HOYA MW10 HiKARI(MW10)を用いて夜盲症状を有する若年症例に対して歩行調査を行い,MW10の有効性と問題点を検討した。

対象と方法:夜盲症状を有する若年社会人5例(男性2例:女性3例,年齢38.0±7.0歳)を対象とした。MW10非装用時と装用時で,暗所(1〜2ルクス程度)の室内を決められたルートに従って歩行する調査を行い,遂行の可否と所要時間を検討した。対照として健常人5例(男性1例:女性4例,年齢37.8±10.4歳)に同様の調査を行い,比較した。夜盲症例にはMW10の見え方や装用感のアンケート調査を実施した。

結果:夜盲症例はMW10非装用では1例のみが,装用では5例全員が歩行調査を遂行できた。健常人は5例全員が非装用時,装用時ともに歩行調査を遂行できた。所要時間に関しては,夜盲症例では非装用時に遂行できた1例は,装用時(39秒)は非装用時(105秒)に比べ大幅に短縮した。装用時の所要時間は夜盲症例104±78秒で,健常人24±5秒に比べて有意に長かった(p<0.01)。アンケートでは,全員からMW10は見え方の補助になると思うが,装用感として重い,大きいなどの感想が挙がった。

結論:MW10は夜盲症状を有する若年症例に対して暗所での見え方や歩行に役立つ可能性があるが,携帯性やデザイン性の改善が求められる。

参考文献

1)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究班 網膜色素変性診療ガイドライン作成ワーキンググループ:網膜色素変性診療ガイドライン.日眼会誌120:846-861,2016
2)Ikeda Y, Nakatake S, Funatsu J et al:Night-vision aid using see-through display for patients with retinitis pigmentosa. Jpn J Ophthalmol 63:181-185, 2019
3)金澤正継・相澤 学・小野 充・他:暗所支援眼鏡購入者に対する使用3か月後のアンケート調査報告.日本ロービジョン学会誌20:85-88,2020
4)池田康博:HOYA暗所視支援眼鏡MW-10 HiKARI.眼科61:945-947,2019
5)木内克治:眼疾患患者に対する暗所視支援眼鏡MW-10 HiKARIの有用性についての自覚的印象による評価.臨眼75:232-238,2021
6)谷口めぐみ・松本映美・町田美月・他:夜盲症例における暗所支援機器の検討—視力,Goldmann視野の結果から.日本ロービジョン学会誌20:S6-S11,2020
7)富士原仁美・黒川 徹・高野喜隆・他:眼科スタッフによる暗所支援眼鏡の使用経験.眼臨紀13:324-329,2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら