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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科76巻3号

2022年03月発行

文献概要

特集 第75回日本臨床眼科学会講演集[1] 原著

井上眼科病院のロービジョン専門外来を受診した患者の介護保険の利用状況

著者: 鶴岡三惠子1 永沼加代子1 井上賢治1

所属機関: 1井上眼科病院

ページ範囲:P.362 - P.367

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要約 目的:井上眼科病院のロービジョン(LV)外来を受診した患者の介護保険の利用状況を調査したので報告する。

対象と方法:2019年1月から2年間にLV外来を受診した65歳以上の患者96例を対象とした。介護保険の利用状況等について後ろ向きに調査を行った。

結果:年齢は65〜92歳(平均75±7歳)であった。性別は男性39例であった。原因疾患は緑内障が最多で43例であった。視力はFunctional Visual Score(FVS)の機能的視力スコア(FAS)に換算すると,平均53±30(小数視力で0.1程度)であった。視覚の身体障害者手帳(手帳)の利用率は99%,介護保険利用率は28%であった。井上眼科病院からの申請は5例で,要支援2が2例,要介護1が2例,要介護2が1例であった。5例すべてが手帳は2級以上の重度障害であり,FVSは0〜26(平均スコア6±10:盲の範囲)であった。

結論:井上眼科病院のLV外来を受診した65歳以上の患者では,緑内障が多く,手帳の利用率は高いが,介護保険の利用率は28%と低かった。介護保険は患者や家族の助けになる制度で啓発が必要である。

参考文献

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2)厚生労働省:令和元年度 介護保険事業状況報告:〔https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/19/dl/r01_zenkokukei.pdf(閲覧日:2021年12月24日)〕
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4)日比野久美子:介護・在宅医療だより 視覚障害者に対しての主治医意見書の書き方について.日本の眼科88:1379-1383,2017
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8)鶴岡三惠子,井上賢治:旧基準では視覚障害の身体障害者手帳の申請が却下となった2例のFunctional Vision Score評価.臨眼73:1281-1289,2019
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10)天神光充:介護・在宅医療だより 障害者総合支援法と介護保険.日本の眼科85:1745-1747,2014
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13)首相官邸:SDGs実施指針改定版〔https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/pdf/jisshi_shishin_r011220.pdf(閲覧日:2021年12月24日)〕

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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