文献詳細
臨床報告
両眼に重篤な眼所見を呈し視力予後が不良であった猫ひっかき病の1例
著者: 濱田拓人1 中澤祐則1 寺崎寛人1 谷口雄大23 髙嶋博2 坂本泰二1
所属機関: 1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科先進治療科学専攻感覚器病学講座眼科学分野 2鹿児島大学大学院医歯学総合研究科神経病学講座脳神経内科・老年病学 3いまきいれ総合病院脳神経内科
ページ範囲:P.449 - P.456
文献概要
症例:患者は41歳,男性。飼い猫から咬傷を受け,その1か月後に発熱と悪寒が出現したが,リンパ節腫脹はなかった。同時期に右眼の視力低下,飛蚊症を自覚した。さらに約1か月後に両眼の著明な視力低下を自覚し,近医から鹿児島大学病院眼科(当科)へ紹介となった。矯正視力は右15cm指数弁,左0.06。両眼に視神経乳頭腫脹,漿液性網膜剝離,黄斑浮腫,硝子体出血を認めた。当科初診から1週間後に左眼に星芒状白斑が出現した。臨床所見から猫ひっかき病を疑い,アジスロマイシン内服,ステロイドパルス療法を行ったところ,両眼の視神経乳頭腫脹や漿液性網膜剝離は改善した。さらにプレドニゾロン,ドキシサイクリン内服を行ったが,視力の改善は限定的だった。その後,抗
結論:猫ひっかき病では視神経網膜炎を呈することがある。非典型的で重篤な眼所見を合併する場合には鑑別に挙がりにくく視力予後が不良である可能性があり,十分な問診と早期の治療介入の検討が望ましい。
参考文献
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