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特集 第75回日本臨床眼科学会講演集[2] 原著
ソフトシェル法と中分子凝集型粘弾性物質単独使用による角膜内皮細胞保護効果の比較
著者: 和田清花1 遠藤貴美1 菊池孝哉1 木佐貫祐揮1 三浦瑛子1 塚越美奈1 禅野誠1 薄井隆宏1
所属機関: 1昭和大学横浜市北部病院眼科
ページ範囲:P.489 - P.494
文献購入ページに移動対象と方法:昭和大学横浜市北部病院で2020年4月〜2021年3月において水晶体再建術が施行された症例のうち,エメリー・リトル分類Grade 4以上の症例,角膜内皮細胞減少症例,術中合併症が起こった症例,硝子体手術併用症例を除外した354眼を対象とした。熟練した3人の術者により角膜切開でPEAを行い,130眼でソフトシェル法(以下,ソフトシェル群)を,224眼で中分子凝集型粘弾性物質のみ(以下,中分子単独群)を用いた。術前と術後2か月の角膜内皮細胞の細胞減少率,PEA装置による累積使用エネルギー(CDE)値を測定し,ソフトシェル群と中分子単独群の両群間の比較にはウィルコクソンの順位和検定を用いた。
結果:CDE値はソフトシェル群で高値であり,有意差があった(p<0.0001)。角膜内皮細胞減少率は中分子単独群で有意に高値であった(p=0.0035)。また,エメリー・リトル分類のGrade別で検討すると,Grade 3の症例では角膜内皮細胞減少率は中分子単独群で有意に高値であったが,Grade 2以下の症例において有意差はなかった。
結論:角膜内皮細胞保護効果については,核硬度が高度な症例では中分子凝集型粘弾性物質の単独使用よりソフトシェル法が有用であった。また,核硬度が軽度な症例では,ソフトシェル法を必要としない可能性が示唆された。
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