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臨床報告
直接作用型抗凝固薬継続下での白内障術後に創部出血が遷延した1例
著者: 上田祥太郎1 小島祥2 井上俊洋2
所属機関: 1国保水俣市立総合医療センター眼科 2熊本大学大学院生命科学研究部眼科学講座
ページ範囲:P.603 - P.606
文献購入ページに移動症例:82歳,女性。心房細動のためアピキサバン2.5mg/日を内服中であった。術前検査では凝固能はプロトロンビン時間でわずかな延長があったが,その他の指標はすべて基準値内であった。左眼白内障に対し,超音波水晶体乳化吸引術および眼内レンズ挿入術を施行した。切開創は強角膜3面切開で作成した。術後約2時間の時点で術創からの出血を確認しタンポンガーゼで経過をみたが,術翌日も出血が遷延していた。アピキサバン内服を中止した後,止血を確認した。
結論:白内障手術時に抗血栓療法を継続することは望ましいとする報告は多いが,抗血栓療法継続下での眼科手術時の出血性合併症の報告も複数ある。術後の創部出血の遷延は視機能には影響しないが,患者などの不安を煽る可能性もあり,周術期における出血リスクには十分留意する必要があると考えられる。
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