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特集 第75回日本臨床眼科学会講演集[3]
結膜腫瘤を生じたIgG4関連眼疾患の1例
著者: 中山馨1 上甲覚1 木谷匡志2
所属機関: 1国立病院機構 東京病院眼科 2国立病院機構 東京病院臨床検査科
ページ範囲:P.613 - P.616
文献購入ページに移動症例:当院初診時61歳の女性。好酸球性副鼻腔炎,気管支喘息にて治療中であった。
所見と経過:3か月前より右眼の腫瘤を自覚し,近医を受診した。精査・加療目的にて当院に紹介された。当院初診時,右上眼瞼の肥厚と結膜に充血を伴う腫瘤病変があった。眼窩部CT画像では右外直筋・下直筋と一塊になった涙腺腫大があり,血液検査では血清IgG4が高値であった。ステロイド点眼にて充血は軽減したものの腫瘤は縮小しなかったため,診断も兼ねて結膜病変を摘出し,病理検査を実施した。病理組織診断では形質細胞の浸潤を認め,IgG4陽性/IgG陽性細胞比は50%以上であった。悪性リンパ腫を疑う所見はなかった。臨床所見と病理所見から総合的にIgG4関連眼疾患と診断し,プレドニゾロン30mgから内服を開始した。開始から17か月時点で1mgまで減量したが,再発は認めていない。
結論:結膜腫瘤を生じたIgG4関連眼疾患の1例を経験した。ステロイド内服で涙腺と眼窩部病変は改善し,結膜病変も短期的には再発はなかった。
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