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特集 第75回日本臨床眼科学会講演集[3]
複視が初発で発症した自己免疫性小脳失調症の1例
著者: 渡辺このみ1 渡辺一彦1 松岡ちひろ1 山田徹2 林智弘3 中辻裕司3
所属機関: 1あさひ総合病院眼科 2あさひ総合病院内科 3富山大学医学部脳神経内科
ページ範囲:P.673 - P.676
文献購入ページに移動症例:78歳,女性。複視が出現し,当科を受診した。眼位は遠見で左上斜視,近見は外斜視および左上斜視であった。頭部MRIでは明らかな異常を認めなかった。その後,ふらつきやめまい,悪心,嘔吐,歩行障害および構音障害が出現した。2型糖尿病であったが,抗GAD抗体が再検査にて陽性であり,富山大学附属病院脳神経内科で自己免疫性小脳失調症と診断された。ステロイドパルス療法,大量ガンマグロブリン療法および血漿交換療法が行われたが,症状の改善はみられなかった。複視には,最終的に左眼に弱視治療用眼鏡箔®(LP)を貼った眼鏡装用で対応することとなった。
結論:複視を訴える患者を診た際には,本疾患も鑑別診断の1つとして念頭に置く必要がある。
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