文献詳細
文献概要
特集 第75回日本臨床眼科学会講演集[4] 原著
0.05%オキシブプロカイン塩酸塩点眼の有効性が示唆された三叉神経障害性疼痛の1例
著者: 植谷忠通1 鈴木崇弘1 佐藤由紀2 鈴木康之1
所属機関: 1東海大学医学部付属病院眼科 2かやま駅前眼科
ページ範囲:P.759 - P.764
文献購入ページに移動症例:患者は38歳,女性。頭重感を主訴に近医脳神経外科を受診し,脳腫瘍と診断された。その後東海大学医学部付属病院(以下,当院)脳神経外科へ紹介され,右視神経近傍の脳腫瘍に対して摘出術を試みるも全摘出はできず,一部の腫瘍は残存した状態で手術終了となった。術後5日目より右眼に眼痛および羞明が出現したため,残存した腫瘍に伴うTNPとの関連を疑い,脳神経外科にてプレガバリンとカルバマゼピンが処方されたが効果はなかった。当院眼科での診察においても眼科的異常所見を認めず,内服薬の継続,鎮痛薬の頓用などによる対症療法のみで退院となった。その後も改善なく眼痛・羞明の増悪,就業不可などの日常生活の制限も認めたため近医眼科を受診となった。TNPに伴う角膜知覚異常の可能性に加え流涙も認めていたため,0.05%オキシブプロカイン塩酸塩点眼を処方したところ,症状は著明に改善し,就業も可能となった。
結論:術後の残存腫瘍に伴うTNPに関連した眼症状が疑われる症例において,0.05%オキシブプロカイン塩酸塩点眼が有効な可能性が示唆された。
参考文献
掲載誌情報