icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科76巻6号

2022年06月発行

文献概要

特集 第75回日本臨床眼科学会講演集[4] 原著

間欠性外斜視の術後成績—両眼外直筋後転術と片眼外直筋後転術の比較

著者: 秋山澄1 後藤美和子1

所属機関: 1福岡市立こども病院眼科

ページ範囲:P.779 - P.784

文献購入ページに移動
要約 目的:小児の間欠性外斜視に対して行った両眼外直筋後転術(以下,両眼後転術)と片眼外直筋後転術(以下,片眼後転術)の術後成績と,それらに影響する因子について明らかにする。

対象と方法:福岡市立こども病院で間欠性外斜視に対し両眼後転術もしくは片眼後転術を行い,術後3〜6か月の間に術後評価を行うことができた小児184例を対象とした。手術は基本的に斜視角30Δ以下を片眼後転術とし,それ以上は両眼後転術を選択した。検討項目は,術前眼位,後転量,年齢,術後眼位,矯正効果,整容的治癒(≦15Δ)とし,手術効果に影響する因子について後ろ向きに検討した。

結果:両眼後転術群と片眼後転術群で有意差があったのは,術前眼位,術後眼位,片眼あたりの後転量,矯正効果であった。術後眼位は,両眼後転術群は9.4Δ,片眼後転術群は12.6Δであった。矯正効果は,両眼後転術群は2.1Δ/mm,片眼後転術群は1.5Δ/mmであり,両群とも年齢による影響は認めなかった。整容的治癒率に有意差はなかったが,片眼手術の場合には整容的治癒に至らなかった群は,治癒群と比較して術前斜視角が有意に大きかった。

結論:両眼後転術群と片眼後転術群の整容的治癒率は同等であったが,片眼後転術の適応をより小さい斜視角の症例とすることで,より良い成績が得られると考えられた。

参考文献

1)Spierer O, Spierer A:Unilarteral lateral rectus recession is an effective surgery for intermittent exotropia in young children. BMC Ophthalmol. doi:10.1186/s12886-020-01778-2, 2021
2)原子幸江・佐藤真澄・大山美栄子・他:間欠性外斜視における外直筋大量後転手術の検討.眼臨紀11:185-188,2018
3)金海美和・後藤美和子・藤田陽子・他:間欠性外斜視に対する片眼外直筋後転術の手術効果.眼臨紀6:132-134,2013
4)Spierer A, Ben-Simon GJ:Unilateral and bilateral lateral rectus recession in exotropia. Ophthalmic Surg Lasers Imaging 36:114-117, 2005
5)Menon V, Singla MA, Saxena R et al:Comparative study of unilateral and bilateral surgery in moderate exotropia. J Pediatr Ophthalmol Strabismus 47:288-291, 2010
6)Spierer O, Spierer A, Glovinsky J et al:Moderate-angle exotropia:a comparison of unilateral and bilateral rectus muscle recession. Ophthalmic Surg Lasers Imaging 41:355-359, 2010
7)藤田陽子・後藤美和子・吉村圭子・他:間欠性外斜視の術後経過—片眼後転短縮術と両眼外直筋後転術の比較—.眼臨紀4:157-159,2011
8)佐藤美保:間欠性外斜視小児の両外直筋後転術.眼臨紀1:47-50,2008
9)西崎雅也・野村耕治:間欠性外斜視に対する両外直筋後転術の手術成績.眼臨紀1:64-68,2008
10)Wright KW:江本有子・江本博文(訳):斜視手術アトラス.丸善出版,東京,2012
11)河野玲華:外眼筋.佐藤美保・佐々木次壽(編):眼手術学3眼筋・涙器.7-9,文光堂,東京,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら