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特集 第75回日本臨床眼科学会講演集[4] 原著
肥厚性硬膜炎による多発脳神経障害を呈した多発血管炎性肉芽腫症の1例
著者: 近藤拓馬1 大田啓貴1 曽根隆志1
所属機関: 1JA尾道総合病院眼科
ページ範囲:P.827 - P.832
文献購入ページに移動症例:患者は45歳,女性。2か月前から肺炎でJA尾道総合病院(当院)呼吸器内科によりフォロー中であった。耳鼻咽喉科で顔面神経麻痺として治療を開始されていた。経過中にめまいが増悪するようになり,当院に救急搬送された。頭部単純MRIで異常信号はなく,右眼瞼下垂および視力低下をきたしていたことから当院眼科に紹介となった。右視力は30cm手動弁で,相対的瞳孔求心路障害は右陽性であった。両眼瞼下垂のほか,右眼は全方向で眼球運動障害があった。蛍光眼底造影検査,眼窩部単純MRI検査で右視神経周囲炎と診断し,ステロイド治療開始となった。抗好中球細胞質プロテイナーゼ3抗体が高値であったことからGPAと確定診断され,高次医療施設へ転院となった。転院後の造影MRI検査で肥厚性硬膜炎も認められた。治療により眼瞼下垂や眼球運動障害は改善したが,右視力は改善しなかった。
結論:頭痛をきたした多発脳神経障害では,肥厚性硬膜炎を鑑別するために単純MRIではなく,造影MRIが必須であると考えられる。
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