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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科76巻6号

2022年06月発行

文献概要

特集 第75回日本臨床眼科学会講演集[4] 原著

Uveal effusionに対して25Gトロカールを用いて脈絡膜の良好な復位を得た1例

著者: 青木真一1 竹内正樹1 剣持瑞樹1 蓮見由紀子1 山田教弘1 水木信久1

所属機関: 1横浜市立大学附属病院眼科

ページ範囲:P.833 - P.837

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要約 目的:uveal effusion(UE)に対しては通常,強膜開窓術が第一選択となる。しかし,強膜開窓術は経験を要する術式である。また,合併症として脈絡膜出血や脈絡膜穿孔がある。今回筆者らは,UEに対するより簡便な術式として,経毛様体扁平部硝子体切除術を併用し,25Gトロカールを用いた脈絡膜下液の排出を行った。その結果,脈絡膜の良好な復位を得ることができたので報告する。

症例:58歳,男性。1週間前より視力低下を自覚し近医を受診したところ,横浜市立大学附属病院眼科に紹介となった。初診時の左視力は(0.6),左眼底に全周性の脈絡膜剝離,裂孔を伴わない漿液性網膜剝離,移動性のある網膜下液がみられた。また,蛍光眼底造影検査では,網膜下への蛍光漏出はみられず,leopard spot patternと思われる顆粒状の過蛍光がみられた。超音波断層検査で強膜の肥厚を認め,左眼軸長が22.27mmであったことから,湖崎・宇山分類Ⅱ型のUEの診断となった。1か月後に25Gトロカールの先端を毛様体下に位置するように調整しつつ留置し,トロカールから脈絡膜下液を排液したうえで硝子体切除術を施行した。速やかに脈絡膜下液は消失し,網膜下液は徐々に減少した。術後6か月で網膜下液は完全に消失し,脈絡膜剝離の再発もない。

結論:UEにおいて,経毛様体扁平部硝子体切除術を併用した25Gトロカールによる排液が有効かつ安全であると考えた。

参考文献

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2)近藤康子・砂川光子・沖波 聡:Uveal effusion syndromeの長期経過.眼紀38:1352-1358,1987
3)Gass JD:Uveal effusion syndrome:A new hypothesis concerning pathogenesis and technique of surgical treatment. Retina 3:159-163, 1983
4)村口玲子・難波美江・蔭山 誠・他:硝子体手術が奏効したuveal effusionの1例.あたらしい眼科17:897-900,2000
5)湖崎 淳:Uveal effusion.本田孔士(編):眼科診療プラクティス 眼底造影写真の読み方.176-178,文光堂,東京,1993
6)Brockhurst RJ:Vortex vein decompression for nanophthalmic uveal effusion. Arch Opthalmol 98:1987-1990, 1980
7)高橋寛二:Uveal effusion syndromeの病態,診断と治療.臨眼53:119-127,1999
8)藤関義人・高橋寛二・山田晴彦・他:硝子体手術を行ったnanophthalmosを伴うuveal effusion syndromeの2症例.臨眼55:787-791,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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