文献詳細
文献概要
特集 第75回日本臨床眼科学会講演集[5] 原著
ブリモニジンによる角膜混濁が疑われた1例
著者: 宮久保朋子1 戸所大輔1 秋山英雄1
所属機関: 1群馬大学大学院医学系研究科眼科学教室
ページ範囲:P.921 - P.925
文献購入ページに移動症例:73歳,女性。2016年12月に両眼の開放隅角緑内障と診断され,近医でタフルプロスト,ブリモニジン,ヒアルロン酸ナトリウム点眼を処方されていた。2020年10月に右角膜混濁に気づき,当院を紹介され受診した。初診時,両眼の結膜充血と結膜濾胞を認めた。また,右角膜周辺部に血管侵入を伴う扇形の角膜実質混濁を認めた。血液検査で結核および梅毒の感染はいずれも否定され,前房水の網羅的PCR検査では単純ヘルペスウイルス,水痘帯状疱疹ウイルスを含む全項目が陰性であった。ブリモニジンによる角膜混濁の既報と所見が類似していたことからブリモニジンによる角膜混濁を疑って点眼を中止し,ベタメタゾン点眼を開始した。ブリモニジン中止後,両眼の結膜充血と結膜濾胞は改善したが,角膜実質混濁は残存した。
結論:緑内障点眼多剤併用中に角膜周辺部の実質混濁をきたした症例を経験した。ブリモニジンによる角膜混濁の既報と所見が類似していること,結膜充血と結膜濾胞がみられたことから,ブリモニジンによる慢性の結膜充血から角膜新生血管を生じ,角膜実質内に脂質沈着をきたしたものと思われた。
参考文献
掲載誌情報