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特集 第75回日本臨床眼科学会講演集[5] 原著
強膜内陥術時の排液部からの感染が疑われた眼内炎の1例
著者: 岡部穂奈美12 横山康太12 恩田秀寿1 當重明子13 浅野泰彦1
所属機関: 1昭和大学医学部眼科学講座 2昭和大学横浜市北部病院眼科 3上町いまきいれ病院眼科
ページ範囲:P.927 - P.932
文献購入ページに移動症例:49歳,男性。手術日X日の1〜2週間前から右眼の飛蚊症を自覚した。X−3日から右眼の耳下側に影が見えるとの訴えで前医を受診した。右眼網膜剝離を認めたために,精査加療目的に当院を紹介され受診となった。X日に強膜内陥術を施行した。X+3日目に眼痛が増強し,前眼部炎症が著明になり,毛様充血,結膜浮腫,眼瞼腫脹を認めたため,眼底透見は困難であった。術後眼内炎と診断し,同日硝子体手術を施行した。セフタジジム20mgとバンコマイシン塩酸塩10mgを500mlの灌流液に混注した。排液部に一致した網膜下に黄色滲出斑と膿瘍を認めたことから,排液部から感染したと考えた。バックルを摘出せずに,膿瘍部の網膜を切開して排膿を行った。セフタジジム20mg/mlとバンコマイシン塩酸塩10mg/mlを結膜下注射して終了した。後日,前房水と硝子体液の培養では陰性が報告されたが,急速に進行した経過から細菌性眼内炎が疑われた。X+13日に網膜剝離が再発した。X+14日に硝子体手術とシリコーンオイル注入術を施行した。X+4か月後にシリコーンオイル抜去術と眼内レンズ挿入術を施行した。X+7か月後,網膜剝離の再発はない。
結論:強膜内陥術時の排液部からの細菌性感染が疑われた術後眼内炎に対し,網膜を切開して排膿することで良好な視力を得られた症例を経験した。
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