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特集 第75回日本臨床眼科学会講演集[5] 原著
多焦点眼内レンズ挿入後に網膜硝子体疾患のために硝子体手術を要した5症例の検討
著者: 近江正俊1 山田晴彦1 髙橋寛二1
所属機関: 1関西医科大学附属病院眼科
ページ範囲:P.933 - P.938
文献購入ページに移動対象と方法:2017年1月〜2020年12月の間に関西医科大学附属病院眼科を受診した症例のうち,mIOLがすでに挿入されている眼に硝子体手術を行った5症例(裂孔原性網膜剝離2例,黄斑上膜1例,黄斑円孔1例,増殖糖尿病網膜症1例)について,網膜硝子体疾患発症のタイミング,硝子体手術前後の視力,手術時の眼底の見え方や問題点について検討した。
結果:網膜硝子体疾患は,mIOL挿入前からあったと考えられるものが2例(黄斑上膜,増殖糖尿病網膜症),mIOL挿入時の後囊破損を契機に生じたと考えられる網膜剝離が2例,mIOL挿入後に発症したと考えられる黄斑円孔が1例であった。硝子体手術によって術前平均logMAR 0.52から術後平均logMAR 0.04(p=0.21)へと全例で視力は改善し,術中合併症や再手術を要した症例はなかった。硝子体手術は広角観察システム下で行う限りは,眼内の視認性がわずかに低下するだけで手術手技に大きな影響はなかった。しかし,術中観察用接触型レンズ下の直像観察ではフォーカシングしても視野内のすべてで像がぼやけ,視認性は著明に低下していた。
結論:mIOLを挿入する際には,他の眼疾患がないか確認してその適応を守り,術後に網膜硝子体疾患が生じて手術が必要な場合には,熟練者が治療にあたるべきと考える。
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