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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科76巻7号

2022年07月発行

文献概要

特集 第75回日本臨床眼科学会講演集[5] 原著

多焦点眼内レンズ挿入後に網膜硝子体疾患のために硝子体手術を要した5症例の検討

著者: 近江正俊1 山田晴彦1 髙橋寛二1

所属機関: 1関西医科大学附属病院眼科

ページ範囲:P.933 - P.938

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要約 目的:多焦点眼内レンズ(mIOL)挿入後に,網膜硝子体疾患のために硝子体手術を行った5症例について検討した。

対象と方法:2017年1月〜2020年12月の間に関西医科大学附属病院眼科を受診した症例のうち,mIOLがすでに挿入されている眼に硝子体手術を行った5症例(裂孔原性網膜剝離2例,黄斑上膜1例,黄斑円孔1例,増殖糖尿病網膜症1例)について,網膜硝子体疾患発症のタイミング,硝子体手術前後の視力,手術時の眼底の見え方や問題点について検討した。

結果:網膜硝子体疾患は,mIOL挿入前からあったと考えられるものが2例(黄斑上膜,増殖糖尿病網膜症),mIOL挿入時の後囊破損を契機に生じたと考えられる網膜剝離が2例,mIOL挿入後に発症したと考えられる黄斑円孔が1例であった。硝子体手術によって術前平均logMAR 0.52から術後平均logMAR 0.04(p=0.21)へと全例で視力は改善し,術中合併症や再手術を要した症例はなかった。硝子体手術は広角観察システム下で行う限りは,眼内の視認性がわずかに低下するだけで手術手技に大きな影響はなかった。しかし,術中観察用接触型レンズ下の直像観察ではフォーカシングしても視野内のすべてで像がぼやけ,視認性は著明に低下していた。

結論:mIOLを挿入する際には,他の眼疾患がないか確認してその適応を守り,術後に網膜硝子体疾患が生じて手術が必要な場合には,熟練者が治療にあたるべきと考える。

参考文献

1)鈴木久晴:多焦点IOL(国内承認).眼科グラフィック10:176-182,2021
2)吉野真未・ビッセン宮島弘子・鈴木高佳・他:回折型多焦点眼内レンズ挿入後に網膜硝子体疾患治療を要した4例.あたらしい眼科26:1543-1547,2009
3)半田 壮・上原浩嗣・竹下弘伸・他:回折型多焦点眼内レンズ挿入眼の黄斑上膜に対する硝子体手術.臨眼67:901-903,2013
4)吉野真未:回折型多焦点眼内レンズとコントラスト感度.あたらしい眼科27:639-640,2010
5)井上 真:多焦点眼内レンズと眼底視認性.眼科手術23:502-506,2010
6)阿部素郎・小原真樹夫・清水公也:偽水晶体眼の網膜剝離とその発生因子.臨眼53:1569-1572,1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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