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特集 第75回日本臨床眼科学会講演集[5] 原著
眼窩内容除去術を施行した眼瞼悪性腫瘍の3例
著者: 飯渕顕1 小幡博人1 田中崇広1 小泉宇弘1 阿部竜三郎1 山田布沙絵1 星太1 山﨑厚志1
所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センター眼科
ページ範囲:P.939 - P.944
文献購入ページに移動症例:症例1は83歳,女性。1年前から右上眼瞼に腫瘤を自覚した。半年前から徐々に増大していたが,コロナ禍で受診の機会を失っていた。初診時,右上眼瞼全体に腫瘍性病変があり,球結膜の充血も認めた。球結膜を含む5か所のmapping biopsyを行ったところすべて脂腺癌で,球結膜にも浸潤していた。症例2は83歳,女性。2か月前から右上眼瞼の腫脹,疼痛,出血が出現した。初診時,右上眼瞼縁に大きな潰瘍を伴う硬い腫瘍性病変を認め,生検を行ったところ脂腺癌であった。眼窩MRIでは上眼瞼挙筋や涙腺への浸潤が疑われた。全身CTでは右頸部リンパ節転移を認めた。症例3は74歳,男性。2年前,右下眼瞼に腫瘤を自覚したものの放置していた。初診時,下眼瞼全体に大きな潰瘍を伴う硬い腫瘍性病変を認め,生検を行ったところ基底細胞癌であった。眼窩CTで腫瘍は眼窩に浸潤し,眼球や外眼筋に接していた。症例1〜3に対して眼窩内容除去術を施行した。症例2は右頸部に放射線治療も行った。
結論:眼瞼悪性腫瘍で視機能を失わないために,眼瞼悪性腫瘍は早期に発見し,小さいうちに治療することが大切である。新型コロナウイルス感染症が流行するなかで受診抑制とならないように,医療界で必要な受診を促すことは大切と思われた。
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