文献詳細
文献概要
臨床報告
ブリモニジン酒石酸塩点眼液使用中に角膜実質混濁が急速に進行した1例
著者: 小島創太1 岩瀬剛1
所属機関: 1秋田大学大学院医学系研究科医学専攻病態制御医学系眼科学講座
ページ範囲:P.1049 - P.1053
文献購入ページに移動症例:78歳,女性
所見と経過:2014年に両眼の原発開放隅角緑内障と診断され,タフルプロスト・チモロールマレイン酸塩液を点眼し加療していた。視野障害が進行したため,2019年2月からブリモニジン酒石酸塩点眼液を開始した。2020年11月受診時,右眼では耳側角膜周辺部に新生血管を伴わないわずかな混濁がみられた。その後1か月で角膜混濁は急速に進行し角膜中央部まで達し,新生血管を伴った混濁となった。その1か月後に混濁はさらに拡大し,右矯正視力は0.3まで低下した。前眼部光干渉断層計では,混濁と一致した部位に角膜実質に限局する高反射所見を認めた。ブリモニジン酒石酸塩点眼液による角膜混濁の可能性が高いと考え,2021年1月からブリモニジン酒石酸塩点眼液の使用を中止し,ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム点眼液を開始した。その後2週間の経過で角膜混濁範囲は変わらなかったが,混濁の程度は軽減し,右矯正視力は0.5に改善した。その後も混濁程度は徐々に改善し,ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム点眼液の開始から2か月後には右矯正視力は0.6となった。
結論:ブリモニジン酒石酸塩点眼液を使用中の患者で角膜混濁が生じた場合には,速やかに他の原因を鑑別し,ブリモニジン酒石酸塩点眼液の使用を中止すること,およびステロイド点眼を開始することを考慮する必要がある。
参考文献
掲載誌情報