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特集 第75回日本臨床眼科学会講演集[6] 原著
愛媛県立中央病院における過去10年間の未熟児網膜症に対する抗VEGF薬治療成績
著者: 立花亮祐1 河内さゆり2 大熊真一2 菊池正晃2 吉岡恵理子2 穐吉眞之介3 山口昌彦2
所属機関: 1住友別子病院眼科 2愛媛県立中央病院眼科 3愛媛県立中央病院新生児科
ページ範囲:P.1127 - P.1133
文献購入ページに移動対象と方法:対象は2011〜2020年に治療を要したROP症例で,IVR群30例60眼(出生体重中央値769g,修正在胎週数中央値25.8週),PC群30例60眼(746g,25.9週)である。両群の出生体重,在胎週数,初回治療週数,病型,zone,stage,最終治療後6か月までの再治療不要率,入院期間およびIVRの再治療に関連する危険因子を比較した。IVR導入前は全例PCを,IVR導入後はインフォームドコンセントのうえ2例4眼を除いてIVRを選択した。χ2検定またはマン・ホイットニーのU検定を用いて解析した。
結果:両群の出生体重,在胎週数,全身合併症の割合に差はなかったが,治療時の重症度に有意差があり,IVR群:PC群の眼数はstage 2で10:2,stage 3 mildで41:45,stage 3 moderateで3:7,stage 3 severeで0:2であった(p=0.021)。病変の位置と範囲におけるIVR群:PC群の眼数はzone Ⅰが2:2,posterior zone Ⅱが31:18,anterior zone Ⅱが27:40であった(p=0.037)。入院期間はIVR群22.3週,PC群19週で,IVR群で有意に長かった(p=0.0358)。再治療不要率はIVR群80.0%,PC群86.7%で,両群間に有意差はなかった(p=0.463)。IVR群再治療関連因子(再治療なし:再治療あり)として,挿管期間(29.0日:39.0日,p=0.008),治療時の血管進展がposterior zone Ⅱ以内(47.9%:83.3%,p=0.049),初回治療週数(36.6週:33.5週,p<0.001)で差があった。
結論:IVRはPCと比較して治療成績は非劣性である可能性が示された。再発リスクの高いROP症例では慎重な経過観察を要する。
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