文献詳細
文献概要
臨床報告
3D-CT画像で位置を同定後に白内障手術と同時に摘出できた眼窩内異物の1例
著者: 竹下哲二1
所属機関: 1上天草市立上天草総合病院眼科
ページ範囲:P.114 - P.118
文献購入ページに移動要約 目的:患者本人に外傷の記憶がなく,頭部CT撮影時に偶発的に存在が明らかになり,白内障手術と同時に摘出した眼窩内異物の症例を報告する。
症例:68歳,男性。脳梗塞様症状で近医を受診。頭部CTを撮影したところ,右眼球付近に高吸収の異物が見つかった。開頭手術が必要と言われたが,セカンドオピニオンを希望して当科を受診。右眼角結膜に損傷,異物はなく,前房にも炎症はなかった。超音波Bモードでも眼内に異物はなかった。白内障を認めたが,加齢性と思われた。当院で頭部CTを撮影したところ,異物は水平断では眼内,冠状断では眼外にあるように見えた。撮影した画像から3D-CT画像を構築したところ,異物は眼球赤道部より前方にあり,外眼筋との関連性はないと思われた。本人が白内障手術を強く希望したため,局所麻酔で白内障手術を行い,続けて経結膜的に異物摘出を試みた。3D-CTの画像から予測した位置の結膜を切開しテノンを剝離すると,直下に異物を発見した。強膜に強く癒着していたため強膜の表層を切除する形で摘出できた。
結論:眼窩内異物の位置を同定し,最小限の侵襲と時間で摘出するのに3D-CT画像は有用である。
症例:68歳,男性。脳梗塞様症状で近医を受診。頭部CTを撮影したところ,右眼球付近に高吸収の異物が見つかった。開頭手術が必要と言われたが,セカンドオピニオンを希望して当科を受診。右眼角結膜に損傷,異物はなく,前房にも炎症はなかった。超音波Bモードでも眼内に異物はなかった。白内障を認めたが,加齢性と思われた。当院で頭部CTを撮影したところ,異物は水平断では眼内,冠状断では眼外にあるように見えた。撮影した画像から3D-CT画像を構築したところ,異物は眼球赤道部より前方にあり,外眼筋との関連性はないと思われた。本人が白内障手術を強く希望したため,局所麻酔で白内障手術を行い,続けて経結膜的に異物摘出を試みた。3D-CTの画像から予測した位置の結膜を切開しテノンを剝離すると,直下に異物を発見した。強膜に強く癒着していたため強膜の表層を切除する形で摘出できた。
結論:眼窩内異物の位置を同定し,最小限の侵襲と時間で摘出するのに3D-CT画像は有用である。
参考文献
1)林 裕子・馬場隆之・海保朋未・他:1年間放置された硝子体内鉄片異物の1例.臨眼73:1067-1072,2019
2)得居俊介・中村孝介・向井 亮・他:2年にわたり眼内に存在した鉄片異物による眼球鉄症の1例.眼科62:285-290,2020
3)山本優一・盛 秀嗣・山田晴彦・他:眼球内に長期間鉄片異物が存在した眼球鉄錆症の1例.臨眼75:555-562,2021
4)新田文彦・國方彦志・西口康二・他:MRIにて発見された鉄片異物による遅発性眼内炎の1例.臨眼75:947-952,2021
5)高野大樹・柿原伸次・平野隆雄・他:8年間結膜下に潜在し,磁気共鳴画像検査時に眼球を穿通したことが疑われた鉄片異物の一例.眼科61:625-629,2019
6)柘野友里・川田浩克・錦織奈美・他:眼窩内異物の摘出に内直筋切腱が必要だった1例.眼臨紀15:266-270,2022
7)小坂正明・上石 弘:三次元CT画像によって診断し得た眼窩内異物の1治験例.日本災害医学会会誌46:326-330,1998
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