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臨床報告
原爆被爆後に滲出型加齢黄斑変性を発症した2例
著者: 關口真理奈1 小宮有子2 川北哲也1 今村裕12
所属機関: 1北里大学北里研究所病院眼科 2帝京大学医学部附属溝口病院眼科
ページ範囲:P.119 - P.124
文献購入ページに移動症例1:78歳,女性。6歳時に長崎で被爆した。矯正視力は右0.3p,左1.0,右黄斑部には網膜下出血と囊胞様黄斑浮腫を認め,両眼とも黄斑部に軟性ドルーゼンが多発していた。光干渉断層計像と造影検査より網膜血管腫状増殖と診断した。右眼に対し硝子体内注射を開始したが,再発と治療耐性を繰り返し,44か月間でアフリベルセプトを計4回,ラニビズマブを計7回,ブロルシズマブを計3回で投与したが,再発を繰り返している。経過中,左眼にも同様の所見を認め,アフリベルセプト硝子体内注射を開始した。
症例2:89歳,女性。16歳時に広島で被爆し,甲状腺癌と慢性腎臓病の既往がある。矯正視力は右0.4,左0.5,右黄斑部の網膜下液と囊胞様黄斑浮腫を伴う2型脈絡膜新生血管を認め,左黄斑部は軟性ドルーゼンが多発し網膜色素上皮の不整を認めた。ラニビズマブ硝子体内注射にて右眼の加療を開始し,現在までの24か月間に計13回投与するも滲出性変化の再発を繰り返している。
考按:原爆被爆から70年以上経って発症した滲出型AMDの2症例を経験した。原爆被爆との直接の因果関係は不明であるが,被爆者に発生した加齢性網膜疾患として稀少な症例であると思われた。
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