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特集 第76回日本臨床眼科学会講演集[8] 原著
運転外来におけるドライビングシミュレータ事故に関与する因子
著者: 平賀拓也1 國松志保1 深野佑佳1 岩坂笑満菜1 黒田有里1 桑名潤平2 伊藤誠2 田中宏樹1 井上賢治3
所属機関: 1西葛西・井上眼科病院 2筑波大学システム情報系 3井上眼科病院
ページ範囲:P.1296 - P.1302
文献購入ページに移動対象と方法:運転外来を受診した121名(平均年齢63.0±13.3歳)を対象に,運転調査(1週間あたりの運転時間,過去5年間の事故歴の有無),視力検査,中心24-2 SITA standardプログラムを用いたハンフリー視野検査(HFA24-2),両眼開放エスターマンテスト,認知機能検査(MMSE),DSを施行した。HFA24-2より両眼重ね合わせ視野(IVF)を作成し,IVF上下半視野の平均網膜感度を求めた。DS時の視線の動きは,据え置き型眼球運動計測装置Tobii Pro X3-120,Tobii Pro nano(Tobii Technology社)にて測定し,5分間の全走行中の指標の水平x/垂直y座標の標準偏差(視線水平/垂直SD)から「視線のばらつき」を求めた。DSの15場面での事故件数と,視力・視野・MMSE・視線のばらつきとの相関を調べた。
結果:DS走行中に1.8±1.9件(平均±SD)の事故を認めた。DS事故件数は,年齢(r=0.52,p<0.0001),MMSE(r=−0.22,p=0.025),視野良好眼の平均偏差(MD)値(r=−0.28,p=0.0024),視野不良眼のMD(r=−0.21,p=0.021),エスターマンスコア(r=−0.29,p=0.0015),上半視野IVF平均網膜感度(r=−0.29,p=0.0012),下半視野IVF平均網膜感度(r=−0.33,p=0.0003),水平方向の視線のばらつき(r=−0.43,p<0.0001)と有意な相関があった。
結論:視野障害患者では,高齢であるほど,認知機能が低下しているほど,視野障害が強いほど事故が多くなるだけでなく,水平方向の視線の動きが少ないことも事故につながるため,安全運転の指導時に注意喚起する必要がある。
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