COVID-19に伴う自宅待機の学童近視への影響とClouclip®を用いた近視進行予防指導の効果
著者:
金井秀美
,
五十嵐多恵
,
久保田茉莉子
,
持田潮帆
,
齊藤令名
,
中尾紀子
,
金子祐一郎
,
倉田あゆみ
,
宮後博美
,
野村仁登三
,
大野京子
ページ範囲:P.259 - P.265
要約 目的:近視予防を目的に中国で開発されたClouclip®は,眼周囲の照度,近業時の視距離,頭部の傾斜などの,近視に関与する環境要因を計測することができる小型機器である。本研究の目的はCOVID-19に伴う自宅待機が学童近視に与えた影響と,眼鏡に装着する小型機器Clouclip®を用いた近視進行予防指導の効果を明らかにすることである
対象と方法:対象は2019年12月〜2020年6月に当院を受診した15歳以下の近視患者。各期間群間(休校前群・休校中群・休校後群)において,Clouclip®指導なし,ありに分けて,おのおのの近視進行量/月を後方視的に比較解析した。指導ありでは,各期間群のClouclip®で計測した近視に関与する環境要因の変化を比較解析した。
結果:指導なし(全23名)の場合,休校前群と比較し,休校中群は近視進行量(D/月)が有意に増加したが(休校前群,休校中群,休校後群:−0.04±0.16D,−0.18±0.24D,−0.02±0.14D,p=0.025),指導あり(全40名)の場合,有意差はなかった(休校前群,休校中群,休校後群:−0.08±0.20D,−0.06±0.12D,−0.05±0.18D,p=0.64)。指導ありでも,休校中群では近業時間が増加したが,指導により屋外活動時間と頻度を増加させることができた。近業時間は,休校後群で休校前群と同等まで改善したが,屋外活動時間と頻度は有意に減少した(p<0.05)。
結論:COVID-19に伴う自宅待機は,学童近視を増悪させることが示唆される。Clouclip®を用いた環境管理には,自宅待機中の学童近視の増悪を予防する効果があると示唆された。