文献詳細
文献概要
臨床報告
HIF-PH阻害薬投与後に糖尿病黄斑浮腫が増悪した1例
著者: 浦橋佑衣1 小島祥1 幸野理久1 井上俊洋1
所属機関: 1熊本大学大学院生命科学研究部眼科学講座
ページ範囲:P.324 - P.328
文献購入ページに移動症例:61歳,女性。近医より,糖尿病網膜症または高血圧性網膜症の精査加療目的に当科を紹介され受診となった。
所見:初診時,斑状・しみ状出血散在,著明な硬性白斑を認め,光干渉断層撮影では黄斑近傍に浮腫を認めた。また,蛍光眼底造影検査では,後極に網膜細動脈瘤と蛍光漏出が多発し,無灌流領域も散在しており,糖尿病網膜症および糖尿病黄斑浮腫の診断となった。全身状態の改善に伴い糖尿病網膜症は改善傾向であり,網膜細動脈瘤に対する複数回の網膜光凝固術施行により,黄斑浮腫は中心窩には及ばず経過していた。しかし,初診から3年後,両眼黄斑浮腫の増悪を認めた。内科で腎性貧血の治療としてエリスロポエチン製剤からHIF-PH阻害薬に切り替えた後に黄斑浮腫の増悪を認めたため,HIF-PH阻害薬の関与が疑われ薬剤を中止したところ,黄斑浮腫は速やかに改善した。
結論:今回,HIF-PH阻害薬の投与後に糖尿病黄斑浮腫が増悪した貴重な1例を経験した。新薬の有害事象の検討に関しては,内科との連携が特に重要である。
参考文献
掲載誌情報