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特集 第76回日本臨床眼科学会講演集[1] 原著
ブリモニジン酒石酸塩点眼薬の使用が原因と思われた角膜混濁を生じた2症例
著者: 須磨﨑さやか1 柿栖康二1 岡島行伸1 鈴木崇1 堀裕一1
所属機関: 1東邦大学医療センター大森病院眼科
ページ範囲:P.347 - P.351
文献購入ページに移動症例1:73歳,女性。当科初診時,左眼角膜鼻側から中央にかけて血管侵入を伴う脂肪沈着による角膜混濁および角膜浮腫をきたし,視力は指数弁(矯正不能)であった。副腎皮質ステロイド薬点眼による治療で角膜混濁および炎症所見は徐々に減少し,視力は(0.6)まで回復した。当初角膜混濁の原因は不明であったが,問診により数年前より充血改善のためにBT点眼を1日3回程度使用していたことが判明した。
症例2:67歳,女性。右眼角膜に血管侵入を伴う脂肪沈着による角膜混濁を認め,視力は(0.5)であった。数か月前まで4年間程度BTとビマトプロスト点眼液を使用していた。侵入血管に対して血管焼灼術を施行したが混濁は残存したため,全層角膜移植術および白内障手術を施行し,視力は(1.2)まで回復した。
結論:BTの使用歴がある重篤な角膜混濁を生じた2症例を経験した。2症例とも角膜へ侵入した血管から漏出した脂肪沈着が混濁の原因となっていた。原因不明の角膜混濁に遭遇した際は,緑内障点眼薬の使用歴の確認も重要であると思われた。
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