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特集 第76回日本臨床眼科学会講演集[1] 原著
後頭葉の梗塞による視覚保続および変形視の1例
著者: 松浦一貴1 寺坂祐樹1 今岡慎弥1
所属機関: 1野島病院眼科
ページ範囲:P.363 - P.367
文献購入ページに移動症例:78歳男性が,動く物体がストロボ写真のように見えると気づいた(polyopia)。動的量的視野検査にて左同名半盲が検出された。MRIでは右後頭葉に浮腫を伴う新鮮な梗塞巣が検出された。数日の間に,数時間前に見た車が見える(palinopsia)こと,人の顔が歪んで見える(変形視:metamorphopsia)ことを自覚した。
考按:視覚保続は稀な現象であり,主に後頭葉障害に伴い障害部位の対側に出現するとされるが,発現機構は十分に解明されていない。本症例では半側相貌変形視を伴った。その責任病巣は後頭葉から脳梁膨大部の障害とされる。
結論:高次視機能障害による“見えにくさ”の診断は,一般眼科医には不得手な領域であり,その診断および治療は神経内科医に委ねられてよい。しかし,一般の神経科医にとってもなじみのある病態ではないことから,適切なコメントとともに紹介する必要がある。
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