ポリープ状脈絡膜血管症に対する抗VEGF薬併用光線力学的療法後2年の治療成績
著者:
山本夏帆
,
塩瀬聡美
,
納富昭司
,
福田洋輔
,
橋本左和子
,
中武俊二
,
狩野久美子
,
秋山雅人
,
石川桂二郎
,
園田康平
ページ範囲:P.477 - P.483
要約 目的:ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)に対する抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬併用光線力学的療法(PDT)後2年における治療成績の検討。
対象と方法:対象は2017年8月〜2019年8月に九州大学病院眼科で未治療PCVに初回からPDTと抗VEGF薬導入期3回投与(1クール)を施行し,2年以上経過観察できた20例20眼。眼底写真での新たな出血,光干渉断層計で確認された滲出性変化,および蛍光眼底造影でのポリープを認めたものを再発と定義した。治療前患者背景,治療前病巣径(GLD),治療前,1,2年後の視力,中心窩網膜厚(CRT),中心窩脈絡膜厚(CCT),dry fovea率,2年間の治療回数,再発率について,診療録をもとに後ろ向きに検討した。
結果:治療前平均logMAR視力(0.23)は,1年後0.12,2年後0.14と改善し,治療前CRT(333.3±21.2μm),CCT(264.6±17.8μm)は,1年後(CRT 231.9±10.7μm,CCT 220.3±17.0μm),2年後(CRT 237.7±9.56μm,CCT 234.9±18.4μm)に減少していた(p<0.05)。1年後80%,2年後70%でdry foveaが得られていた。1年目の抗VEGF薬投与回数は導入期の3回を含めて平均4.65回±0.47回/年,2年目1.9回±0.60回/年であった。2年後の視力不良との関連因子を検討したところ,治療前視力不良,治療前GLDが大きいこと,と有意に関連があった。15例(75%)が再発し,そのうち40%が1年未満に再発していた。それらの早期再発症例の治療前平均CCT(234.9μm)は,1年以上後で再発した症例の平均CCT(314.3μm)に比べ有意に薄くなっていた。
結論:PCVに対するPDT併用抗VEGF薬治療は2年後の視力,網膜形態を改善したが,症例により再発し,追加治療が必要となることが示唆された。治療前CCTが薄いと再発までの期間が短い傾向があった。