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特集 第76回日本臨床眼科学会講演集[2] 原著
30年後に網膜の変性の進行がみられた
著者: 水野文博1 鳥居薫子1 遠藤智己1 才津浩智2 倉田健太郎1 堀田喜裕1
所属機関: 1浜松医科大学眼科学講座 2浜松医科大学医化学講座
ページ範囲:P.513 - P.518
文献購入ページに移動症例:36歳,男性。視力低下を指摘され6歳時に近医眼科を受診した。右遠視性不同視弱視と,網膜周辺部に金箔様反射を指摘された。夜盲の自覚もあり,同年浜松医科大学附属病院を紹介され受診した。矯正視力は,右0.2,左0.9で,視野に異常はなく,網膜電図で陰性型波形を認め,水尾・中村現象が陽性であったことから小口病と診断した。弱視治療によって12歳時には矯正視力は右0.4,左1.5まで改善したが,その後は通院を自己中断していた。36歳時に視力低下を訴え受診した。矯正視力は,右0.6,左1.0。眼底には金箔様反射に加えて網膜色素上皮の萎縮がみられ,光干渉断層計ではellipsoid zoneの消失と外顆粒層の菲薄化がみられた。視野検査にて輪状暗点が観察され,網膜電図では杆体反応の消失に加え錐体反応の減弱がみられた。遺伝子検査にて,
結論:小口病では本症例のように視機能の悪化や網膜の変性を伴った症例が散見される。進行性の小口病の予後は不明な点が多く,症例の蓄積が必要であると同時に,小口病患者を診療する際には進行する可能性があることを念頭に置いたカウンセリングが必要である。
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