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臨床ノート
特徴的顔貌はないが遠見複視によりsagging eye syndromeを疑った1例
著者: 高橋京一1
所属機関: 1たかはし眼科クリニック
ページ範囲:P.589 - P.591
文献購入ページに移動緒言
軽微な複視を訴える高齢者は少なくないが,精査を希望しない場合,原因不明のまま眼鏡などで対処する場合が多いと思われる。近年,眼窩結合組織であるプリーの加齢現象で複視が生じる疾患があることが発見され,2009年にsagging eye syndrome(以下,SES)と命名された1,2)。アジアからの報告が少ないため,わが国では眼科医を含め認知度が低い疾患であったが,近年マスコミでこの疾患が扱われたことで一気に認知度が向上し,SESの可能性を疑い受診する患者が増えている。
今回,2年前からときどき複視を感じていたが,テレビ報道からSESを自ら疑い当院を受診し,SESの診断に至った症例を経験したので報告する。
軽微な複視を訴える高齢者は少なくないが,精査を希望しない場合,原因不明のまま眼鏡などで対処する場合が多いと思われる。近年,眼窩結合組織であるプリーの加齢現象で複視が生じる疾患があることが発見され,2009年にsagging eye syndrome(以下,SES)と命名された1,2)。アジアからの報告が少ないため,わが国では眼科医を含め認知度が低い疾患であったが,近年マスコミでこの疾患が扱われたことで一気に認知度が向上し,SESの可能性を疑い受診する患者が増えている。
今回,2年前からときどき複視を感じていたが,テレビ報道からSESを自ら疑い当院を受診し,SESの診断に至った症例を経験したので報告する。
参考文献
1)Rutar T, Demer JL:“Heavy Eye” syndrome in the absence of high myopia:a connective tissue degeneration in elderly strabismic patients. J AAPOS 13:36-44, 2009
2)Chaudhuri Z, Demer JL:Sagging eye syndrome:connective tissue involution as a cause of horizontal and vertical strabismus in older patients. JAMA Ophthalmol 131:619-625, 2013
3)Goseki T, Suh SY, Robbins L et al:Prevalence of sagging eye syndrome in adults with binocular diplopia. Am J Ophthalmol 209:55-61, 2020
4)Goseki T:Sagging eye syndrome. Jpn J Ophthalmol 65:448-453, 2021
5)Kawai M, Goseki T, Ishikawa H et al:Standard coronal orbital magnetic resonance imaging is an effective technique for diagnosing sagging eye syndrome. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 258:1983-1989, 2020
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