文献詳細
文献概要
特集 第76回日本臨床眼科学会講演集[3] 原著
卵円孔開存が原因と考えられた若年性網膜中心動脈閉塞症の1例
著者: 石橋慧一1 木崎順一郎1 和田悦洋1 恩田秀寿1
所属機関: 1昭和大学医学部眼科学講座
ページ範囲:P.633 - P.638
文献購入ページに移動症例:30歳,女性。もともとの矯正視力は両眼とも1.2であった。突然の左眼の視力低下を自覚し,翌日,昭和大学病院附属東病院を紹介され受診した。矯正視力は右1.2,左は手動弁であった。左眼の視野は中心下方にわずかに残存するのみであった。網膜内層は白色浮腫状でcherry red spotを認めた。蛍光眼底造影で網膜中心動脈の充塡遅延を認め,CRAOと診断した。同日よりウロキナーゼ点滴静注,副腎皮質ステロイド点滴静注,星状神経節ブロック,高圧酸素療法を施行し,2か月後に左眼矯正視力0.15まで改善した。原因検索にて,血管炎や内頸動脈狭窄を認める所見はなかったが,脳MRIにて微小な虚血巣が散在しており,経胸壁および経食道エコーにてPFOを認め,これが原因の可能性が考えられた。PFOに対してはリバーロキサバン内服を開始し,初診から3か月後に閉鎖術を行った。
結論:若年者のCRAOの症例は卵円孔開存も一因となりうるため,それを念頭に置いて検索する必要があると考える。
参考文献
掲載誌情報