文献詳細
特集 第76回日本臨床眼科学会講演集[4]
原著
3焦点眼内レンズ挿入眼における角膜乱視の影響
著者: 上原朋子1 太田友香1 谷口紗織1 中村邦彦1 ビッセン宮島弘子1
所属機関: 1東京歯科大学水道橋病院眼科
ページ範囲:P.733 - P.737
文献概要
対象と方法:2017年5月〜2021年3月に東京歯科大学水道橋病院にて白内障手術が施行され,トーリック機能のない3焦点IOLが挿入された症例のうち,オートケラトメータで術前の角膜前面乱視が1.0D未満の症例を対象とした。診療記録から術前角膜乱視,挿入IOL度数,術後1か月以降の遠方,40cm,30cmの裸眼視力を調べた。さらに,術前の角膜乱視を0.5D未満と0.5D以上1.0D未満の2群に分け,各距離の術後裸眼視力を比較した。
結果:症例は100例172眼,平均年齢は66.0±9.3歳,男性33例,女性67例,直乱視87眼,倒乱視40眼,斜乱視45眼であった。乱視軸ごとの度数と術後裸眼視力の相関では,倒乱視群のみ度数が増えると遠方と40cmで視力低下の傾向であった。また,乱視度数0.5D未満と0.5D以上1.0D未満の2群間で平均裸眼視力を比較したところ,倒乱視群のみ全距離において0.5D以上1.0D未満群が0.5D未満群より有意に低下していた。
結論:倒乱視例では3焦点IOL挿入後,術前角膜乱視が軽度でも視力低下が認められ,低加入度トーリックモデルの有用性が示唆された。
参考文献
掲載誌情報