今月の表紙
虹彩囊腫
著者:
片倉博子1
髙橋次郎1
黒坂大次郎2
所属機関:
1獨協医科大学埼玉医療センター眼科
2岩手医科大学
ページ範囲:P.833 - P.833
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症例は24歳,男性。約6年前から左眼の虹彩の瞳孔縁に隆起性病変を認め,近医にて経過観察を行っていた。その後,瞳孔縁の病変が増大し多発するようになり,左眼の見えづらさを自覚するようになったため,当院を紹介され受診となった。初診時の視力は右(1.2×−4.75D()cyl−0.50D 115°),左(1.2×−4.50D()cyl−0.50D 75°),眼圧は右16mmHg,左15mmHg。細隙灯顕微鏡検査で左眼の瞳孔縁上下方に,表面が平滑で均一な色調の囊腫状病変を認めた。多発性虹彩囊腫の臨床診断のもと,2%キシロカイン®のテノン囊下麻酔を行い,粘弾性物質を前房内に注入し,2時と11時方向の角膜に作成したサイドポートから前囊鑷子と八重式虹彩剪刀を挿入し,囊腫を根部から可及的に切除した。
本撮影には,トプコン社製スリットランプSL-D7にニコン社製デジタル一眼レフカメラD300を取り付けた装置を使用した。囊腫は瞳孔縁に多発し,部位により病変の隆起の程度に差があったため,全体の状態を把握しやすくするように倍率10倍,スリット幅15mmで撮影を行った。