文献詳細
文献概要
特集 第76回日本臨床眼科学会講演集[5] 原著
Hill-RBF式Ver. 3におけるVer. 2や他計算式との白内障術後屈折誤差精度の検討
著者: 都村豊弘1 篠原圭治1 曽我部由香1
所属機関: 1三豊総合病院眼科
ページ範囲:P.898 - P.905
文献購入ページに移動対象と方法:対象は,Ver. 2は2018年10月〜2020年4月に当院にて白内障手術を施行した200例344眼,他計算式との比較では2020年5月〜2022年2月に同様に施行した258例434眼。IOLはNS-60YG(SZ-1:ニデック)を使用。角膜曲率半径,眼軸長測定と前房深度などの生体計測はIOLMaster 500(カールツァイスメディテック)で測定。IOL定数はUser Group for Laser Interference Biometry(ULIB)値を用い,Hill-RBF式(HI群),SRK/T式(S群),Haigis式(HA群)に使用。Barrett Universal Ⅱ式(BUⅡ式)(B群)はA定数よりlens factorを算出し使用した。同じIOL度数における予測屈折値を各式で算出。術後1か月に他覚屈折値をもとに自覚屈折値を算出し,それぞれの予測屈折値と比較した。
結果:術後1か月における屈折値誤差平均値(絶対値平均値)は,Ver. 2との比較ではVer. 2は0.18±0.45(0.39±0.29)D,Ver. 3は0.22±0.46(0.41±0.30)Dで有意差はなかった(平均値p=0.293;t検定,絶対値平均値p=0.516;Mann-WhitneyのU検定)。他計算式との比較ではHI群0.14±0.49D(0.41±0.31D),S群−0.05±0.49D(0.39±0.31D),HA群0.004±0.43D(0.34±0.26D),B群0.16±0.47D(0.39±0.30D)となり,平均値,絶対値平均値ともに有意差があった(平均値p<0.001;one-way ANOVA,絶対値平均値p=0.006;Kruskal-Wallis検定)。また,±0.25D(±0.5D)以内に入った割合はHI群35.5%(67.1%),S群40.6%(71.9%),HA群44.9%(78.3%),B群39.6%(69.6%)となり,各群間で有意差があった(±0.25D以内p=0.005,±0.5D以内p<0.001;CochranのQ検定)。
結論:Ver. 3に進化したHill-RBF式はVer. 2とは有意差がなかった。他計算式との比較では,絶対値平均値でS群とB群との間に有意差がなかったことから,度数計算式として術後屈折誤差の少ない有用な式であることが示唆された。ただ,現状では度数設定範囲に制限があるなど,さらなる改良が必要と思われた。
参考文献
掲載誌情報